7.寂しがりの咆哮(1) ページ8
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「わ、伊藤君その怪我どうしたの？！」
頭を包帯でぐるぐる巻きにして現れた伊藤君に、私は思わず悲鳴じみた声をあげた。
慌てて伊藤君に駆け寄ると、困ったように笑った彼が昨日の顛末を教えてくれる。
要約すると一昨日校門に来ていた女の子の一人がヤクザに拉致されて、それを助けに行った伊藤君と三橋君がヤクザ相手に大立ち回りをしてきたと。
昨日のあの消火器の山はそういうことかと、妙に納得する。
「昨日教えてくれてもよかったのに」
「教えたとこで連れていくわけにいかねぇしな。だったら知らんでいーだろ」
そう言う三橋君は伊藤君とは対照的に目立った怪我は見られない。
相変わらず要領よくやっているらしく結構なことだ。
私は慣れない包帯が気になるのか頭に手をやる伊藤君に向き直った。
「でも大丈夫なの？ ヤクザなんか相手にして……」
「うん、まあ偽名名乗ってきたし大丈夫じゃないかな、多分……きっと……」
「自信なさすぎない？」
「うう……。まあ何かあっても何とかするし、大丈夫。Aちゃんは心配しないで」
安心させるように伊藤君が笑う。
そう言われてしまってはそれ以上私に言えることは何もなく。
困ったように笑みを返すしかない私に伊藤君が苦笑していると、「そういえば！」と大声を上げた三橋君が伊藤君の後ろから身を乗り出してきた。
押された藤君が三橋君の下敷きになって潰れているんだけどほんとに大丈夫なの？
「おいA、お前こないだなんで突然いなくなったんだよ」
「こないだ？」
「京子ちゃんたちがウチに来た日！ あの後サ店行ったんだよ、お前も誘ってやろうと思ったのに知らん内に消えやがって」
「あー……」
あの時か。三橋君の言っていることに思い当って言葉を濁す。
別に好きで消えたわけではないのだが、そんなことを言っても彼らに分かるわけがないので説明に困ってしまう。
「大体お前は付き合いが悪ぃんだよ、ちょっと目を離したらしょっちゅういなくなるしこの俺様が一緒に帰ってやろうと思っても放課後になるとどこ探しても見つかんねぇし！ 何が悲しゅうて伊藤と二人っきりで下校せにゃならんのだ！」
「別に俺だって一緒に帰ってくれとは言ってねぇよ」
「うるさいわい！ とにかく！ 今日こそは放課後！ 付き合ってもらうかんな！」
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玉屋(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます、励みになります！ (2019年3月2日 10時) (
レス) id: 038d2716d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新、楽しみにしています！ (2019年3月2日 2時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉屋 | 作成日時：2019年2月5日 9時
