33.炭酸ははじけない(1) ページ39
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「喫茶店……!」
「Aちゃんと来るのは初めてね!」
目を輝かせる私に、理子ちゃんが嬉しそうに笑う。
理子ちゃん、三橋君、伊藤君と、私はついに念願の『友達と喫茶店』を実現させていた。
そもそも喫茶店に入ること自体経験のない私には、その場の雰囲気も光景も新鮮に映って仕方がない。
店内をしきりに見回す私の頭を三橋君が掴んで止めた。
「こら、あんまりきょろきょろすんな。おのぼりさんか」
「だって、初めてなんだもん」
「変なヤツだと思われるだろ」
「思われないよ。そもそも見えてないし」
先日の一件で分かったことだが、その後学校でも試してみた結果私の姿は大人には見えないらしいことが発覚した。
今まで学校内の人間ならば姿を認識させることができるものと思っていたのだが、先生たちにはどうやら私は見えていなかったらしい。
そういわれてみれば生徒には挨拶したり声をかけてみたことはあるけれど、先生にはやったことなかったなと思う。
というわけで、学校でのみ見える幽霊から子供にのみ見える幽霊にクラスチェンジを果たした私だった。
「Aちゃんって食事はするの?」
「食事? この状態になってからはしたことないかな」
「っていうか食べたり飲んだりできるのかな、ちょっと飲んでみる?」
理子ちゃんが差し出したのは彼女の注文したレモンスカッシュだった。
炭酸がしゅわしゅわ音を立てて弾けている。
恐る恐るストローに口をつけるのを、三人が固唾を呑んで見守る。
ごくんと一口嚥下して、期待に満ちた三対の瞳に向って口を開いた。
「……味がしない」
「……味がしない?」
オウム返しに呟いたのは伊藤君だ。
その言葉に肯定の意を込め頷いた。
「なんの味もしない。っていうか喉を通っていく感じがしない。実際飲めてるかも怪しい」
グラスの中身は心なしかちょっと減っているようにも見えるが、だとしたら一体中身はどこへ……。
考えるのも億劫で、私はぐったりとテーブルに突っ伏した。
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玉屋(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます、励みになります! (2019年3月2日 10時) (レス) id: 038d2716d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新、楽しみにしています! (2019年3月2日 2時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉屋 | 作成日時:2019年2月5日 9時