ex1.逃げ足だけは速そうだ ページ4
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「そういえばお前、クラスは？」
そろそろ教室に戻るかと三人連れ立って廊下を進む途中、ふと浮かんだ疑問をそのまま口にするとAはぎくりと肩を震わせた。
「あー、えーっと。…………秘密？」
「は？」
言いよどんだ挙句なぜか疑問系だった。
ジト目で見据えているとそれに気づいたAが慌てた様子でまくし立てる。
「いや、ほら、そういうのはもうちょっと仲良くなってから」
「クラス教えるぐらいで？」
「ぐらいで！ なんていうかな、あれだ、もうちょっとお友達レベルを上げてから……」
「お友達レベル」
聞いたことねえわ。別にスリーサイズ教えろって言ってるわけじゃねえぞ。
見れば伊藤も驚いてるんだか勢いに押されてるんだか引きつった笑顔で表情が固まっている。
「ね、その話はまた今度ってことで。ほら、教室着いちゃったし」
言われて前に向き直ると、確かに二年三組の扉の前だ。
納得いかん。が、まあ時間は余るほどあるわけで、まあいつでもいいか。
そう思って再び背後のAを振り返った。
「……って、あ？」
そこにいたはずのAの姿がない。伊藤を見ても不思議そうに首を振るばかりで。
「……あいつ、逃げやがったな」
誰に向けたでもない呟きは廊下の喧騒に溶けて消えた。
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玉屋(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます、励みになります！ (2019年3月2日 10時) (
レス) id: 038d2716d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新、楽しみにしています！ (2019年3月2日 2時) (レス) id: fd73c1c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉屋 | 作成日時：2019年2月5日 9時
