青、君が愛しい【上】 ページ10
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鳥のさえずりに目を覚ました。なんだか長い夢を見ていたような気がする。背筋を伸ばしながらあくびをしていると、携帯から通知音が鳴った。だるい身体で携帯を引っ掴む。画面には「寝坊すんな！ みんな駅で待ってるぞー」という文字にうさぎの怒りマークが添付されている。時計を見ると確かに岡山さんたちと駅で合流する時間を五分過ぎていた。適当に謝罪スタンプを送信すれば、彼女たちは注意しながらも結局は笑って許してくれることを知っている。そこにはもう、諍いはない。
コップ一杯の水を飲んで服を着替える。家族に挨拶して、眠気の残る思考を引きずりながら外に出た。湧き上がって来た暖かい風が肌を撫でる。両腿に気合いという鞭をいれ、勢いよく地面を蹴る。すれ違う人を全力で交わしながら、深緑が彩る街を駆け抜けていく。
連絡先を交換した当初はこんなに仲良くなるだなんて思ってもいなかった。新しいクラスメイトを見るたびに植え付けられた固定概念が牙を剥き、まともにその人自身を見ようとしていなかった。けれど話していくうちに自分がその人の情報を簡略化し、自分の知っている型に当てはめようとしているだけだと気づいた。
岡山さんたちの性格は無邪気で快活で、一緒に居るとへんに愉快な気持ちになる。その分思ったことを率直に言うから、たまに変な空気になったりするけれど、それも個性だと受け止められる。
もしかしたら昔も、私がきちんと見ようとしていなかっただけで、百瀬ちゃんたちは私に何かを伝えようとしていたのかもしれない。それが何かは分からないし、液晶画面に固執した日々の残花が私の中で燻っている事実は変わらないけれど。でも今なら、今度こそは扉越しや画面越しではなく、面と向かって全てを聞いて、ちゃんと話したいと思える。
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九条あや(プロフ) - のばらさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*^^*) 次回作も頑張りますね！ (2019年1月16日 22時) (
レス) id: 32ff1c1e1c (このIDを非表示/違反報告)
のばら(プロフ) - 上手いことは言えないのですが、凄く面白かったです！ (2019年1月16日 21時) (レス) id: 6840145f54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：九条あや | 作成日時：2019年1月5日 17時
