※更新停止【SERVAMP】上を向いて歩いていたら、黒い狐に躓きました。 (ページ16)

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「（誰でもいいからこの状況をなんとかして……）」ページ16

Q．【貴方が現在置かれている状況を簡潔に述べなさい。】

「…………」

「…………」

「……あの」

「な、なななにかな！？僕はただの通りすがりだから気にしないでほしいんだけどッッ！！？」

A．【冷や汗かいて吃りまくってるグラサン男と謎の睨みあいをしてます。】

「なんだこの状況……」

思わずこぼれた一言に、グラサン男は盛大にビクついた。
でもってまた後退。
プルプルと可哀想になるくらいグラサン男は震えている。けれど、初対面にも関わらず怯えられるのは温厚な私でもさすがにイラっとするわけで、

「…………チッ」

「！！？」

試しに舌打ちすると、グラサン男はマナーモードの携帯のごとく更に震え上がる。
チビ男子と同じ反応でちょっと面白……じゃない、こっちは本気で心当たりないのにこの怯え様……案外、自分でも知らないうちになにかやらかしている可能性が高いよね。
ここはとりあえず、一度謝っとくべきかもしれない。

「あの」

少しでも友好的に見えるよう、お決まりの営業スマイルを携えて一歩踏み出した＿＿

「！！！」

＿＿のと同時にグラサン男は後退した。

きっちり、私が近づいた分だけ。

営業スマイルをたたえたまま、硬直する。

「…………」

「…………」

私が何をしたっていうんだ。

～30分後～

私とグラサン男の睨み合いは今だに続いていた。

たまたま人が寄り付かない区画だったのか、不幸にも一切の邪魔も入らず、気づけば30分もの時間が経過していた。……なんてこったい。

ちなみに、グラサン男は何度かこの場から逃げ(そもそもなぜ逃げられなきゃいけないのか不明)出そうとしていた。
けど、何故かこっちのカートの中身を見てからは青ざめ、マナーモードを延長している。

先に言っておくけど、凶器とかは入れてないから！メロンパンに誓って！

「…………(メロンパンメロンパンメロンパン…)」

「…………」

そして、長すぎるにらめっこに私の中である種の意地が生まれていた。
それは「目を逸らしたら負け」的なもので。

結果、シュールが生まれた。

言葉で説明するなら、グラサンかけた黒い着物に下駄というややミスマッチなマナーモード男と、ごくごく普通かつ一般人な私が睨み合う構図。

全くもって笑えない。

と、謎の緊迫感の漂う奇妙な空間に、無駄にハイテンションな声が割って入った。