きゅう。 ページ9
＊Aside
日直の号令で席に座る。
“ 華の高校一年生 ” という肩書にも慣れ桜の花弁の絨毯も終わりに近づいてきた。
「1限から数学とか…まぁだるいわな。」
数学担当の先生までもが私達に同情する。
私は既に眠気のﾋﾟｰｸが来ている。
しかし、幾ら眠気でも椅子をちょん、と叩くこの手の持ち主には敵わない。
「なに、英太。」
少し椅子を斜めに倒し、斜め後ろの英太に訊く。
返事はない代わりに、肩に英太の手が乗っかる。
素っ気なく発した “ んっ ” と言う言葉を合図に手が離れる。
肩には手紙が。わざわざ書かなくたって耳元で囁いてくれれば良いのに、と思ったことは内緒だ。
ぴら、と几帳面に折り畳まれた手紙を開く。
「 Dear : A
あのｾﾝｾのｽﾞﾗが落ちそう。
From : 英太 」
いやいや別にどうでも良いでしょ。
そう思いつつも、先生に目線をやる。
………あれれ、今にも落ちそうじゃん。
吹き出すのを堪えて見つめるも、次の瞬間先生の頭の上にズラは無かった。
何故なら開け放った窓から風が吹いたから。
あっという間に廊下へと飛んでしまったズラとツルッ禿の先生の頭。
クラスがしんと静まりかえる。誰一人言葉を発しない。
「こ、これは……」
必死で弁解しようとする先生より早く、堪えきれないとでも言うように、香織が大笑いした。
それを始めとし、一斉に笑い出す皆。
どさくさに紛れて英太を見ると、ふと目が合い “ だろ? ” とでも言いたげにニヤッと笑いを返してきた。
不覚にもその笑顔に心が跳ねてしまった。
頬を染めてそっぽを向く私と、ある意味頬を染めてズラを取りに行く先生。
今日は何だか色々波乱が起こりそうだ。
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Amoamo(プロフ) - めちゃくちゃこの感じ好き…！更新停止なんて寂しいです、復活求む！！( ；∀；) (2017年8月16日 0時) (
レス) id: f21522e0ef (このIDを非表示/違反報告)
春 - お話の内容とても好きです!!名前変換してるんですけど何か男子らが余計可愛く見えて(黙れ)これからも頑張ってください…!! (2016年11月22日 21時) (レス) id: 65339fc5a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なっこ | 作成日時：2016年6月19日 0時
