雄英には高嶺の花がいる！その子は天喰環の……ーー (ページ16)

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好き、って言われたページ16

昨日事があり、
私と環くんは少し気まずい

結局、蝶のストラップも渡せなかった
咲夜にも告白して逃げる人がいますか！って怒られた

私は気分が沈むまま、
鞄に教材を詰め込んでいた

天「A」

ふと名前を呼ばれた
大好きな声なのに、今はとっても不安になる…

天「……一緒に帰ろう？」

まさかの誘いに私は少し待ってね、と言って
咲夜に歩いて帰る、と連絡した

『…うん、わかった』

環くんの声が不安げに聞いてきたから、
本能的に感じてしまった

私は振られるのかもしれない…

胸に熱いものが込み上げってくるのを堪える
私は顔を俯かせて、絶対に見えないようにする

いつもは車で眺めている景色を
私は少し変な気持ちだ

二人で歩く空間でも、会話が………一言もない

私は環くんの顔を見ることができず
その代わりに拳を強くギュッと握る…

そのまま歩くと
夕日をバックに公園が見えた

天「…その、Aさん」

震えてる環くんの声、私は察したーー振られるのか…

『……昨日のはッ！う、嘘です！』

数歩先に進んで私は立ち止まり、言い捨てた
私の言葉に更に静かになった

『…だから、うぅ…き、気にしないでッ！』

初めての感情

あの小説で書いてあった、
恋とは甘くて幸せな気持ちになれると

嘘つき、苦くて、悲しくて、辛い

伝えたから、伝えてっしまったから、
ーー勇気を出して告白したら

こんな苦しくなるなら、
告白して気まずくなるなら

"私の気持ちなんてーー…"

私は俯いたままそう言うと、
背後に踏み込んだ、環くんの足音

天「忘れるなんて、できるか」

彼の怒ったような、強い口調に、肩が跳ねる

私は腹をくくって顔を上げて振り向く
環くんは、昨日よりも真っ赤な顔で、
真っ直ぐに私を見つめる

天「だって、俺も同じ気持ちだから」

環くんはそこまで言うと息を呑んで

天「俺も、好き」

だから忘れない、そう言った途端
私の心臓は煩くて、目尻から涙が出そうになる

『…さっきの、は、嘘です…！』

ずっと不安だったから、
いっきに安心して涙が溢れてしまった
そんな私を、環くんはそっと手を伸ばして、
ーーーー一旦手を、引っ込めて

でも、もう一度手を伸ばして、
ぎこちなく、でも、優しく私の頭を撫でてくれた