【終わセラ】最年長少年は、狙われ続ける_３【男主】 (ページ15)

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第４８話ページ15

【 Aside 】

視界の隅で二つの影が現れたのだ。すぐに服装と瞳の色から女吸血鬼だと分かったが、

＿クローリー様ぁ、こんなところで何やってるんですかぁ

女吸血鬼は肩まで伸ばした紫髪をふわりと揺らし、甘ったるい声で言った。

＿前線で第七位始祖様がお呼びです、クローリー様。

その隣に少し遅れて登場したのは、艶やかな縦ロールの金髪に、全体的に白色でフリルが多めな服を身に付けている女吸血鬼だった。

クロ「んー？フェリド君が私を？それはいかないとまずいねぇ」

剣を鞘に戻しながら、クローリー様と呼ばれた目前の男は言った。女吸血鬼二人は従者だろうか？

クロ「ここもちょっと面白くなってきたんだけどなぁ。ま、いっか」

貴族の男は白マントを翻し、従者のもとへ歩き出した。

クロ「でも、次は君の血を吸わせてもらうからね。百夜Aくん」

＊

優「...なんだよ、これ。鬼呪装備使ってもこんなに力の差があんのかよ」

吸血鬼達が完全に姿を消した後、優は拳を握りながら言った。

シノア「まぁ、黒鬼装備の優さんなら鬼呪の使い方を覚えれば、少しくらいは実力差は埋まりますが...」

優「なら早く教えろよ！」

シノア「ですが、あなた一人が吸血鬼と互角になったところでどうなりますか？その間に私は殺されます。みっちゃんも与一さんも...だからチームワークがいる。今回はいい勉強になりました。死者が出なかったという幸運にも恵まれた。優さんが自分から撤退を提案してくれたのも嬉しかったです」

シノアは淡々と言う中、俺は拳銃をレッグホルスターに戻し、防御壁の方へ目をやった。

「フェリド...」

前線。第七位始祖。フェリド。

先の吸血鬼達の会話を俺は聞き逃さなかった。つまり、家族の仇が防御壁を越えた先に...。

シノア「Aさん」

「え、あ？どうした？」

無意識のうちに歯を食いしばっていた所為で、舌足らずな返事をした俺にシノアは、

シノア「何ですか、その間抜けな返事は」

「いや、ちょっと考えごとをな。ん？優の奴、顔赤くないか？」

眉間に皺を刻み、への字の優の顔をじっと見ていると、

シノア「あー、お礼を言ったんです。命を助けてくれたので」

＿＿