【終わセラ】最年長少年は、狙われ続ける_３【男主】 (ページ11)

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第４４話ページ11

【 Aside】

「...ふぅ」

大きく溜息を吐き、気持ちを落ち着かせる。先程の飢餓感の所為で一気に冷汗が出て若干服が湿ってしまっている。特に脇の油汗がこの上なく気持ち悪い。しかし、そんな事を考える暇はない。心配を掛けないよう優達が戻って来る前に平常心を取り戻さなければならない。

何回も何回も深呼吸を繰り返していく内に、水溜りに映る自分の瞳が正常な色に戻っていっている事に気が付いた。そして、表参道地下鉄跡地から聞こえてくる複数の足音と共に俺はその場に立ち、服に付いた砂埃を軽く手で払った。

優「A！」

俺の目にまず入ったのは脚を大幅に動かし、こちら側に走って来る優だ。

「お前そんな勢いで突っ込んで来たら...！」

優「A！」

「うおッ...！」

案の定、俺は優の勢いに身を任せる事になり、背中から地面に倒れた。

シノア「本当に優さんはAさんが大好きですね」

君月「類は友を呼ぶって言うしな。馬鹿は馬鹿が好きなんだろ」

与一「あはは...」

三葉「ふん、よく無事だったな。にしても１人で人質全員運び切ったのか」

上から俺を見下ろす4人の顔を見ていく。それぞれの顔や身体には擦り傷や打撲が見受けられるが、大きな怪我はしていないらしい。俺は不安から解放された安心感からか、思わず顔をほころばせた。

士方「おい、何笑ってんだ気持ち悪りぃ」

与一「あー、A君の笑った顔久し振りに見たかも」

「何だよ、皆が無事だと分かって嬉しいんだよ、悪かったか」

妙に照れ臭くなってしまい、俺は両手で覆い隠した。

三葉「...変な奴だな」

「つか優、いい加減退いてくれ。瓦礫が小石やら砂利やらで背中が痛いから」

優「...んだよ」

優はつまらなさそうに顔を上げ、身体を起こした。そして、優が退いたと同時に俺自身も身体を起こし、服に付いた砂埃を手で軽く払った。何故二度も同じ動作をしなくてはならないのだ。

「で、次はどうするんだ？」

シノア「そうですね。ここで時間を食うのも何ですし...」

一呼吸置いてシノアは言葉を続けた。

シノア「向かいましょうか、新宿に」

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