【ヴィランズ手下】あなたが居るならそれだけで

33　手紙 ページ36

ジャック「エイトフット、とうとうスキャターに告白するって〜！」

ジャックの声が私の鼓膜を揺らした。

今、なんて？

アップル「とうとうか。エイトフットも男になったな。」
ダルメシア「いい報告が楽しみだぞー！」
マルフィ「あの二人はどこからどう見ても両思いだからね〜」

回りの声が遠くなる。

彼がスキャターに想いを伝える？

つまりそれは私の「死」を意味している。

私、死ぬの？
やだよ.....やだよ......やだよ！死にたくない！

くそが、くそったれが.......！

ヴェール「Aさん、どうしましたの？」
「ううん、少し気分が.....ちょっと部屋に行って横になるね。」

死にたくない、その言葉だけが脳内を埋め尽くした。

便箋を出して、みんなに向けての手紙を書く。
手が震えて書くのが難しい。

「魔力が切れ」───────丸めて捨てる。
「また会お」────────そしてまた捨てる。
「次会えたら」───────捨てる。

なんで？どうやって書いても嘘になってしまう。

夢とか、希望とか、未来とか、そんなありもしないことを書いてしまう。
筆がそう書くのをやめない。
続きを信じてしまう。
終わりなんてないと信じてしまう。

意を決し、手紙に短く書いた。

ところどころに水滴がついたうすよごれた紙に汚い字を記していく。


『みんなへ
　今までありがとう
　遠くにいくの
　だからバイバイ』


あれ？目から涙が。止まらない。
ボタボタ手紙を濡らしていく。

やめて、濡らさないで。

涙は言うことを聞かず、濡らしていく。

机を、字を、手紙を。


赤く眼を腫らしながら手紙を、濡らしていく。

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