【ヴィランズ手下】あなたが居るならそれだけで

9　隣の女は一体誰？ ページ11

Aside

ヴェール「皆さんにもAさんの歌を聞いていただきましょうよ！」

突然のヴェールの提案に対する私の第一声は「は？」だった。

ヴェール「こんな素敵な歌声みなさんにも聞かせてあげないともったいないですわ！」
「いや、でも......」
ヴェール「きっとみなさんも褒めてくれますわ！あんなに綺麗な歌声、罵倒する方がどうかしてます！」

私はヴェールの勢いに負け、下の大広間まで引っ張られていった。

あー腕がのびちゃうー

ヴェール「みなさん聞いてくださいまし！Aさんの歌声ってすごいんですのよ！」
ホック「あぁ、さっきの歌声はやっぱり彼女のものだったんだな。」
ジャック「すっごくよかったよ〜！」
「ありがとう......照れるな......」

ヴェールは語る。
まるで私の歌声は国宝級のもの、とでも言うように。

しかし、私はそんなもの耳に入らなくなるような光景を目にしてしまった。

大きな椅子に座るジョー。

隣の女は一体誰？

スーツを着て、眼鏡をかけた女。
なんだか二人は仲睦まじく見える。

それに......ジョーのその眼差しはかつて私に向けられていたものそっくりだった。

あぁ、そんな子が好みなのね。

ヴェール「あら？Aさん、どうしましたの？」
「え？な、なにが？」
ヴェール「いえ.....なんだか目付きがさっきとは違っていたので.......」

そりゃ好きな男が他の女と仲睦まじく話してれば目付きだって変わるだろう。

女「あ、そういえばジョーさん！」

ジョー.......さん.........?

私は、許されなかったその呼び名。

その女は......許されるというの？

あ、無理だ。

「ヴェール、ごめんね。部屋で用事を思い出したから戻るわね。」
ヴェール「え？でもまだ....」
「ごめんなさい。」

私は逃げるように部屋に戻った。

頬を涙で濡らしながら、私に向けられていた彼のあの眼差しを思い出した。

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