【ヴィランズ手下】死神かと思ったら違った (ページ29)

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28　誰にも知られずに泣いているページ29

Aside

「どこにいるんだろー.....」

雨も強くなってきて、新しいスカートの裾は濡れ、水滴が足に落ちてくる。

雨宿りしようと思い、建物と建物の間に入り、傘を閉じた。

その時、誰かがいるのがわかった。

そうか....ここは夢の国....お客さんがいてもおかしくない....!

むこうも私の存在に気がつき、ゆっくりとこちらを向いた。

スカー「なんで.....」

スカーさんだった。
ようやく見つけられたという安心感と、何を話せばいいのかわからないという戸惑いが一斉に溢れて、唇をぎゅっと噛んだ。

スカー「なんであなたがいるの!?」
「あなたを探してました。さ、一緒に帰りましょう？」
スカー「なんであなたがスカーちゃんのこと....っていうかあんた、ダーリンになにしたのよ！」
「えー.....なんもしてませんよ。それに、私は二人の仲を邪魔するつもりはありませんし...」
スカー「でもダーリンがあなたに惚れてるのは本当じゃない！スカーちゃんの方が、ダーリンのこと....」

とうとう彼女は泣き出してしまった。

「な、泣かないでよ......私、あなたのことを傷つけてしまいました。それを許してもらおうってわけじゃないんですけど...その傷つけてしまった人に私は尽くしたいって思うんです。前に、ある人達を傷つけてしまった時、逃げてしまったから......だからもう、逃げてばかりは嫌なんです。顔をあげてください。せっかくのお顔が、台無しですよ。あなたが明るくて魅力的なのは分かってます。ですから、旦那さんにもそれをアピールしていきましょう」

涙でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりと上げ、いつにまにか顔のバツ印はなくなっていて、私は彼女の顔をはっきり見れるようになっていた。