こっち、みてよ (ページ10)

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あれから１ヶ月

ほんとに何も無いように毎日がすぎていく

学校に行っていつもの6人で馬鹿やって

たまにバイトに行って帰って寝て

また朝学校に行く

みんなが泊まりに来たりすることも遊びに行くこともあったけどこれといって景瑚とは何もないし

クラスのみんなも普通

穏やか、そんな言葉が似合う日々だった

ちょっと肌寒くなってきた9月も真ん中を過ぎて

もうあと少しで文化祭だなーなんて呑気なことを考えていた頃

クラスで話題になったことがあった

“二軍と三軍の入れ替えが激しい”

大した差はない、と私の中では思っていても

本人たちからすれば雲泥の差なんだろう

確かにここ数週間

言い争いや勉強の善し悪し、はたまた体育祭の準備

文化祭に向けて、

クラスで動くことが増える中、この変動はだいぶ大きなもの

軍事に動く習性があるのでみんなそれによって話す話さない問題が出てくるのだ

一軍は相変わらず6人、仲良くやってるんだけどね

景瑚がそのカーストを動かしてると分かっていても

私にはどうすることも出来ないし

私が出ていく幕じゃない

そんなことを呑気に思ってた

金曜日、何となく教室に残ってると

拓実が教室に入ってきた

｢あ、おったんや｣

『うん、何となく。拓実は？』

｢あー後輩に呼び出されとった｣

『モテるね〜』

｢じぶんやって、モテてるくせに｣

『言われることが少ないからモテてるとは言わないんだよ』

｢ファンクラブできてるの知らんやろ｣

『うわー怖いなそれ』

｢めっちゃ可愛くて1位の子がいるってホンマに話題やねんで？めっちゃ聞かれるもん、俺｣

『へー』

｢まるで興味無いな笑まぁ、明日香には景瑚がおるもんな〜｣

『なんで景瑚が出てくんのよ』

｢あんだけ好意丸出しにされとって気づいてないはなしやで？｣

『気付いてるに決まってるでしょ。拓実だって沙也加のこと好きなくせに。彼氏いるのにね〜』

｢なっ！！？？｣

『バレてないとでも思ってんの？まぁあの感じみんな気づいてなさそうだけど』

｢ほんま怖いわ逆らえへんやん、｣

『まぁ頑張んなよ』

｢ほんまな〜だって、｣

そう言いかけたところで、誰かがいる気配がした

教室を出てみたけど、人影すら見えなくて

｢どしたん？｣

『んー、なんでもない』

｢変なの｣

『拓実に言われたくないわ』