こっち、みてよ (ページ7)

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片手に飲み物を持ったまま俯き気味に話すから

ほんとに地雷踏んだな、と思いつつ

いつかはこうなるんだと自分に言い聞かせた

『メリットなんかないってわかってるのに言う必要ないと思ったから言わなかった』

｢うん、そっか、そうだよね｣

『でも、ひとつわかんないことがある』

｢ん？｣

やっと顔を上げて目が合った景瑚

なんだかそっとしといたら消えてしまいそうな気がして

急に不安になる

『…どうして私を1位にしたの？景瑚だって拓実だって1年の時1位だったじゃん』

｢…それは言えない｣

『…』

｢でも、明日香じゃなきゃダメだった。いつかちゃんと言うから、何があっても俺を信じてこのまま1位でいて欲しい｣

弱々しくて、儚くて、辛そうで、消えてしまいそう

『そっか、分かった』

｢…それだけで納得してくれるの？｣

『別に納得はしてないけど。景瑚には景瑚の考えがあるんだろうし、私が何言っても変わらないんでしょ？』

｢…うん、ごめん｣

『私は私の見たものでしか判断しないよ。今は景瑚を信じたいと思うから信じる、それだけ』

それだけ言うと景瑚の目から一筋の涙がこぼれた

｢…あれ、｣

『何を抱えてんだか知らないけど弱音を吐くことの大切さ、忘れちゃダメだよ』

｢うん、｣

『ご飯食べてく？』

｢…泊まってく｣

『えーめんどくさい』

｢せっかく感動ムードだったじゃん！なんで！｣

『…景瑚が明日からもそのままでいてくれるなら泊まらせてあげる』