偶然なんて言わせない

8 ページ9

学校でも話すことがない私たち


クラスも違ければ関わることがない、私たち


1日10分の大切な時間


すれ違うことはあっても、目を合わせて会釈くらいだったところから


今は遠くにいても気にしてしまうことが増えて


私の中で汐恩がどんどん大切なものになっているのが


嫌でも自覚できる


10分の道のりの後


家に帰ると汐恩からLINEが来ていて



“電話かけんで”



私たちは1日にあった出来事を毎日電話で話すことが


日課になっていた



『今日はね〜遥がね』


｢明日香の話聞きたいんやけど。あいつのことなんかどーでもええねん。嫌でも聞いとるわ｣


『私の話なんかなんもないよ。くだらないもん』


｢それがええねん。…会いたくても会えないんやから｣


『…ごめんやって』


｢いや別にええねんけど、不安になるやん｣


『不安？なして？』


｢1日ちょっとしか話せへんのに、俺の事好きでいてくれてるんかなとか、変なこと色々考えてしまうやんか｣


『そんなこと言わなくても私は汐恩のこと大切に思っとるし大好きやで？』


｢…なんなん、自分。ずるいわ｣


『ずるくないわ笑』


あって話せるのは1日10分


でもこうやって電話で話す時間も同じくらい私は好きで


嫌なことも忘れられるし


モデルのことも忘れるくらい


それくらい汐恩が好きで


大好きでたまらなかった

9→←7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す