偶然なんて言わせない

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楽屋に戻った私は鏡の前に立った


化粧をちょっとだけ直して


衣装から私服に着替えてバックの中を見る


実は今日会えると決まった時から渡したいものがあって


こっそりカバンに潜ませている


『…よし』


楽屋を出てJO1さんの楽屋に向かおうとすると


黒田さんがいた


黒田 ｢行ってらっしゃい、楽しんで｣


『ほんとに今までありがとうございました。行ってきます』


それだけだったの会話は


でも、その一言で涙が出そうなくらいだった


出会ってもう7年くらい


会えなくなって5年がすぎて


今年も君と離れ離れになってしまった季節がやってきた


長かった、ほんとにとっても長かった


会いたくて仕方がなくて


どこで何してるかも分からない君を


ずっとずっと想ってた


君の気持ちが今も私に向いてたらいいけど


もし、そうじゃなかったとしてもそれはそれでいい


元気で幸せでいてくれたらもうそれで十分かもしれない


楽屋の前について一息深呼吸


中からはわちゃわちゃと元気な声が聞こえてきて


きっといい人たちなんだろうと、


自然と笑顔になれた


コンコンっとドアをノックして中から返事がしたのを確認して控えめにドアを開ける



『先程はありがとうございました。櫻井明日香です。ご挨拶に伺いました』


そういうと


｢え！？まじ！？｣ ｢どうぞ！！｣


と元気な声が聞こえて


完全にドアを開けた


『お疲れ様でした。出演前にご挨拶出来ずすいません。今日はありがとうございました。』


｢え！可愛い！俺、明日香さんのファンです！ドラマ全部見てます！｣


『ありがとうございます、佐藤さん』


｢え！俺の名前知ってくれてるんですか！嬉しい！！！連絡先教えてください！！｣


『あ、私でよければ…』


と言いかけて携帯を出そうとした時


暖かい、何かに包まれた


｢あー、もういい所だったのに〜｣


と佐藤さんの声が聞こえて


｢けーご、我慢しな〜｣と、蓮くん


｢なんで、いるの言ってくれへんかったん｣


『ここ楽屋だよ？汐恩』


｢ええねん、なぁ、なんで教えてくれへんかってん。俺だけ？こんな会いたかったんは｣


『サプライズだったから教えられへんもん。』


｢連絡先急に消すし、遥に聞いても自分で探せって言うし。なのにドラマとかめっちゃ出てるし蓮くんと先共演するし。なぁ、｣

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