ずるい【三浦鷹山】 ページ38
私の彼はずるいと思う。しかし、私の言い方が悪かったのもダメだった。テレビのリモコンが取りたかったのだが、ソファの上から動きたくなかったので隣にいる彼に頼もうとした。それを取ってほしいの意味で
「ん」
と、手短に彼に伝えた。彼とは長い付き合いだから伝わると思っていた。だが、彼は迷うこともなくキスをしてきた。違う、そうではない。だが、可愛く笑う彼はずるすぎる。彼の天然で可愛いすぎる行動にいつもときめいてしまう。今みたいな勘違いなんて日常茶飯事で、たまに心配になってしまう。けれど、そこが愛しいのだ。彼のそんなところが好きなのだ。だが、私ばかりが好きみたいでずるいと、いつも思う。
そんな彼と過ごしていたある日。いつの間にかソファで眠ってしまったのだが、目が覚めるとベットの上にいた。すると、ドアが開く音がしてなぜか寝たフリをした。ベットが軋む音がして、彼の手が私の頬に触れた。そして、
「······可愛い」
と小さく呟きながら、頭を撫でる彼。思わず照れてしまい、頬に熱をもったのがわかる。
「オレのそばにいてくれてありがとな、······大好きだ」
またまた不意打ちでそんなことを言う彼。ずるすぎる。起きている時には言わないくせに、私から好きだと伝えても笑って受け流すくせに、なんで人の知らないところでそんなに可愛いことをするんだ。もう好きという気持ちが溢れて止まらない。
「······ちゃんと、起きてる時に言ってよ」
ゆっくり目を開き、彼の方をじっと見る。すると、驚いたのか恥ずかしさからなのかベットから転げ落ちる彼。そんなところも可愛すぎてにやけてしまった。
「い、いつから起きてた?」
「部屋に入ってきた時から」
最初からかよと、彼が小さく呟いた。恥ずかしそうに手で顔を隠しながら照れる彼は可愛すぎてずるい。どんなことをしても可愛くてかっこいい彼は、本当に私を虜にして離さない。
「ねぇ、もう一回言って?」
と、彼にお願いする。すると、もう恥ずかしさなんてどうでもよくなったのか
「······何回だって言ってやる。Aが何してても可愛くて、どうにかなりそうなくらい好きだ。オレのそばでニコニコ笑ってくれるAが大好きだ」
こんなことを言われたら、より好きになってしまう。もっとそばにいたいと思ってしまう。そう強く思わせる彼は、本当にずるい人だ。
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黛(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!!これからも頑張っていくので、楽しんでいただけたら嬉しいです (2022年2月7日 7時) (レス) id: 26e9e65c58 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - すごく面白いです!頑張ってください! (2022年2月7日 7時) (レス) @page42 id: 14f43f79f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黛 | 作成日時:2021年11月27日 17時