検索窓
今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:1,657 hit

猫【鳩原呂羽人】 ページ28

私の学校の近くには猫のたまり場がある。よく猫を撫でに訪れるのだが、今日も見に行こうとその場へ向かった。すると、見覚えのあるオレンジ髪の男子高校生を見つけた。彼はこちらに気付いたようで、ゆるゆると手を振って声をかけてくる。

「Aも猫見に来たの?」
「うん、ロボくんもいるなんて珍しいね」

彼とは同じクラスで同じ部活である。なので、少しは彼のことを知っていて、彼の性格的に寄り道などしないと思っていたから驚きだった。彼の周りには猫が何匹か擦り寄ってきて、いつの間にか囲まれてしまっていた。その光景に戸惑っている彼が可愛らしくて、思わず笑みがこぼれてしまった。私は密かに、彼に恋心を抱いている。しかし、それを本人には伝えられていないし、気付かれていない。当の本人は、優しい瞳で猫を撫でていて、その姿に思わず

「にゃあ······」

と声を発してしまった。彼は、目を丸くしてこちらを見ている。無意識とはいえ、あまりの恥ずかしさに視線を逸らす。たぶん、猫ばかり見ている彼が嫌だったんだろう。だとしても、猫の真似をして彼の気を引こうとするなど恥ずかしくていたたまれない。そんなことを思っていると、彼の手が私の頭にのびてきて

「······よしよし」

なんて言いながら頭を優しく撫でられるので、ドキドキするしかない。彼の意識が私に向けられていることが、彼が私に触れていることが嬉しくて、胸が高鳴っているのが分かる。彼の天然タラシなところに一喜一憂している自分が情けないが、こればっかりは惚れた弱みだろう。

「なんか、ごめんね······」

なんとなく、彼に謝罪の言葉をかけると

「ううん、可愛かったから別にいいよ」

と、彼の発言に私は余計赤面する。真っ直ぐに見つめられながら、しかも好きな相手から可愛いと言われるのは純粋に嬉しいし照れてしまう。彼のことだ、嘘ではないだろうし、深い意味はないのだろう。だが、その言葉はあまりに嬉しすぎて、彼を意識するには充分すぎた。しかし、私にはまだ、彼のように真っ直ぐに想いを伝えられる日は来ないだろう。そう思っていたのだが、数日後に彼から告白され、想いを伝えることができたのでよしとしよう。

愛してる【三浦鷹山】→←甘え方



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:短編集 , 反応集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!!これからも頑張っていくので、楽しんでいただけたら嬉しいです (2022年2月7日 7時) (レス) id: 26e9e65c58 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - すごく面白いです!頑張ってください! (2022年2月7日 7時) (レス) @page42 id: 14f43f79f7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年11月27日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。