9・私にできること ページ9
「ところで……グレンをさらっていった黒い猫たちって、何者なの?」
ふと気になっていたことを口にすると、バロンはうーんと顔をしかめた。
「少なくとも、猫の国の者ではないようだが……。
目的もよく分かっていないらしい。
……これはあくまで推理だが、おそらく指示している別の猫がいて、さらいに来た猫たちは、そいつの指示に従って動いているんじゃないかと思う」
監視カメラ(監視目?)の映像から、猫たちは誰かが指示している様子もなく、
ただ" グレンをさらう "という仕事を淡々とこなして帰るだけ、の様に見えたらしい。
しかもその猫達はとても頭がきれて、強いらしく、兵の猫たちにも捕えられなかったとか。
「そうなんだ……」
とにかく、私にどうにかできる問題ではないということだけは確かだ。
思っていたより、とても大きくて難しい問題。
何もしてあげられないのか……。
ここに連れてきてあげられただけでも、良かったのかな。
「……Aは優しいな」
「えっ?!いや、そんな……」
「今もずっと何かしてあげられることはないか、悩んでいるのだろう?」
バロンの言葉にわかりやすく反応してしまった。
バロンは思ったことを素直に口に出してくれる。
バロンの言葉は一つ一つとても心地よかった。
前と変わらない。全然変わらない。
「でも、私、何もしてあげられそうにない。
力になれるかと思ってたのに。
ユキちゃんのためにも……」
「Aは十分力になれたんじゃないのか?」
「え?」
「Aがグレンを助けてあげて、ここまで連れてきてくれたんじゃないか。
もしAが助けてあげていなかったら、この子はそのまま苦しみ続けていたかもしれない。
Aのおかげで、グレンは家に帰ることができる。
もうそれで十分だ」
バロンの優しい言葉に、心がふっと軽くなった。
私にできることは、やりきれたのかな。
153人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ままんほう - アイリスさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉!しかも大学生ということでさらに嬉しいです(*^^*)これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月18日 4時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
ままんほう - 澪桜さん» コメントありがとうございます!本当に久しぶりに更新いたしましたので見ていただけると嬉しいです(´▽`*) (2021年9月18日 3時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
ままんほう - タカさん» コメントありがとうございます!遅い更新にはなりますがこれからも読んでいただけると嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 3時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 初めまして(*^^*)この間こちらの小説を見つけて一気読みしてしまい、更新を待ちわびておりました!続きを楽しみにしていますが無理はなさらないようお体にお気をつけ下さい。ちなみに私も大学生なので親近感が湧きました(´∀`*)応援しています! (2021年9月16日 8時) (レス) id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - かなり更新していないと見受けましたが続きが気になります!!更新、楽しみに待ってます((o(。>ω<。)o)) (2021年8月24日 8時) (レス) id: 8aa45553d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ままんほう | 作成日時:2018年8月26日 14時