会いたかった。【猫の恩返し】

8･名前 ページ8

「ミルクでいいか？」

「うん！」

前、私がミルクにしたの、覚えててくれたのかな……なんて。

そうだったら、凄く嬉しい。

変わらないバロンの部屋。やっぱりこの趣味好きだなぁ。

「私のスペシャルブレンドだ。その都度味が変わるので、保証はできないがね」

あ、私があれ以来こっそり真似してる台詞だ。

「ふふ、いただきます……、うん！美味しい」

「それはよかった」



「君も飲むといい」

バロンは私の後ろに隠れている子猫にミルクを差し出した。

子猫はゆっくり近づいて、飲み始める。

ムタさんは、今日もたまたまあったらしいシフォンケーキに生クリームを塗っていた。


「そういえば、この子の名前はなんて言うの？」

「グレンと言う名前だそうだ。

由来は確か" gleam "という言葉で、かすかな光、ひらめき、徴候というような意味だったと思う」

「そこまで知ってるんだね、さすが！」


グレン、か……。

王様もユキちゃんも、いい名前考えたなぁ。

「君、かっこいいじゃん！！」

思わずグレンの頭をわしゃわしゃ撫でた。



「とりあえず、猫の国に見つかったと連絡を入れておいた。

もう少し落ち着いたら迎えに来てもらおう。

きっとグレンも疲れているだろうしな」

横には、すぅ、と寝息をたてて寝ているグレンの姿。

本当、疲れただろうな。

きっと、隙を見て小さいながらに一生懸命逃げてきたのだろう。

寝顔を見ながら、助けてあげてよかった、と改めて思えた。

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