13・猫もどきカチューシャ ページ13
「実はな、この床下に猫の国からもらった秘密兵器が隠してあるんだ」
家具を避け、敷いてあったカーペットを巻きながら話すバロンを見て、ナトルはああ!と声を上げた。
「あれですね!あの、猫の国が全力を尽くして製作したあの!!」
どうやら、猫の国が作ったものらしい。
しかし私はまだ、全く何のことか分からなかった。
猫の国が作ったものって、絶対人間向きではないと思うんだけど……。
バロンが、床板を外した。
「これが秘密兵器だ」
中には、私にちょうどピッタリの猫耳カチューシャ……。
まだ意味がわからない。
「え、これって、カチューシャ、だよね?」
「ああ。これを付ければ、Aは時間に左右されることなく、猫の国にあった体でいられる。つまりこれは、猫の姿になれるカチューシャだ。」
そのあと、なれるとは言っても完全に猫の姿にはなれない、人間と猫が混ざったような状態になるということも教えてくれた。
……こんなファンタジーなアイテムが存在していたなんて。
とても精巧に作られているそれは、本当に猫の耳のようだった。
「……つけてみても、いい?」
「ああ」
カチャッ
何かがハマった音がしたと同時に、私の体はどんどん縮んでいく。
ヒゲと尻尾も生えてきて、手には肉球もついていた。
私はあの時と同じ、猫もどきの姿になった。
「うわあ……すごい!!!!」
少し見上げると、バロンの綺麗な顔がある。
同じ大きさでいられることが嬉しくて、胸がきゅっ、となった。
「どうかしたのか?」
「あ、ううん、なんでもないっ」
そうか……と、少し腑に落ちてなさそうだったけど、見とれていたってことは秘密にしておこう。
「ここのボタンを押せば人間に戻れるようになっているみたいだ」
確かに、カチューシャの横に少し出っ張りがある。
うまいことできてるな……。
……これで、私の心配の種は無くなった。
まだ、少し不安がある。
猫の国に行くことが私にとって正しいことかも分からない。
でも、自分の気持ちに正直になるなら……。
「私、猫の国に行くよ!!」
私は、バロンと一緒に行きたい。
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ままんほう - アイリスさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉!しかも大学生ということでさらに嬉しいです(*^^*)これからも読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月18日 4時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
ままんほう - 澪桜さん» コメントありがとうございます!本当に久しぶりに更新いたしましたので見ていただけると嬉しいです(´▽`*) (2021年9月18日 3時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
ままんほう - タカさん» コメントありがとうございます!遅い更新にはなりますがこれからも読んでいただけると嬉しいです(*^^*) (2021年9月18日 3時) (レス) id: 1af2afa1fb (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 初めまして(*^^*)この間こちらの小説を見つけて一気読みしてしまい、更新を待ちわびておりました!続きを楽しみにしていますが無理はなさらないようお体にお気をつけ下さい。ちなみに私も大学生なので親近感が湧きました(´∀`*)応援しています! (2021年9月16日 8時) (レス) id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
澪桜(プロフ) - かなり更新していないと見受けましたが続きが気になります!!更新、楽しみに待ってます((o(。>ω<。)o)) (2021年8月24日 8時) (レス) id: 8aa45553d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ままんほう | 作成日時:2018年8月26日 14時