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五歩 ページ5

「何してんだよ」




その言葉が聞こえた瞬間、
邪魔が入ったと言いたげに、
先輩はくしゃりと顔を歪めた。


だが、現れた人物を見ると
スイッチが切り替わるように、
またいつもの顔に戻る。


いつの間にか呼吸を忘れてたのか、
俺はひゅっと息を吸う。




「やっ!悟。珍しいね、
君がこんなところに来るなんて」



「…」



ニコニコ笑いながら、俺の頭を撫でる夏油先輩。
少し、気持ちいいとか思ったらダメだろうか。


大きな手が、ゴツゴツした手が、気持ちいなんて。


厚かましい?


でも…両親にも、
こんな風に撫でられたことは無かったな。



すると、五条先輩はズカズカと大股でやってきて、
俺の服を掴んでは思いっきり横に揺さぶる。




『ぇ…ッ…!?』


「!」




隣で夏油先輩が驚いたように、
目を見開いたのが見えた。


まぁ、既に隣に俺はいないんだけど。


思いっきりベンチから投げ出され、地面に衝突する。


咄嗟についた手から血が出てるのが視界の隅に映った。



痛い。



なんだよ。急に来て。




そう思い、見れば、彼は俺を見下ろしていた。



あの青い瞳が、ギラギラと俺を見つめている。




あ、これ、怒ってる。




「なんだよ、お前まだ居たのかよ。
邪魔なのわかんないわけ?」



『お、れは…』



「つか、高専に居て何してんの?
呪術師になりたいってか?お前になれる訳ねーだろ。
弱いお前が、人を助ける?ハッ、無理無理。
お前に助けられる方も嫌だっての」




ヘラヘラ笑いながら、五条先輩が言う。


俺がぺたりと地面に座り込んでいるせいか、
やけに彼が大きく見える。




「何にもないくせに。何も出来ないくせに」



『…そ…んな』



「名前通りなんだよ。零、ゼロ。
両親もそう思ってつけたんじゃね?
空っぽな人間。俺と正反対。あーぁ、かわいそ」



『…空っぽ』




ぎゅぅと心臓は締め付けられる。




でも、なんだか、俺にピッタリだな、と、俺も思った。



れい、ゼロ…空っぽ…何も無い…できない。



そう頭の中で繰り返す。



あぁ、確かに、この人は的をいている。



でも、じゃあ、なんで、こんなに、



泣きそうになるんだ?

六歩→←四歩 誤字修正済



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- 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時

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