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三十一歩 ページ31

「おや、頬が赤いが……酔ってきたのかい?」

『よってません』


店に入ってから五十分強、
駄べりながら過ごしていると、
唐突にそう言われた。

俺は自身の頬を手の甲で撫でながら、
熱い身体を冷ます。



酔っているかと言われたら酔っていた。



だって、視界が少し歪んでいるから。


……あまり外で他人と飲まないから、
夏油先輩のペースに乗っかってしまったのかもしれない。


先輩は多分俺より強いし、
飲むペースも早いんだろう。



「……もう店から出ようか。会計済ませてくるよ」

『あ、おれが』

「一人じゃ立てないだろう?」

『む』



立とうとする俺の肩を押して、
スタスタと会計を済ませようと行ってしまう先輩。


こういうスマートなところがモテるんだろうな。


そう考えながら、
まだ残っているお酒に口をつける。


おいしい……




「あの、教祖様と一緒にいましたよね!?」



『……?』




座って飲んでたら隣から声をかけられた。

見れば、スーツ姿の男性。
やせ細っていて、見るからに不健康そうな人。

彼は俺の両手を無理やり掴むと言う。




「あの方は本当に素晴らしい方ですよね!?
貴方もあの方に導かれたのですか?」


『……は?なに?』




彼は俺の両手を掴んで、ブンブンと縦に振る。

なんだ?

誰のことを言っているんだ?




「あぁ、つい熱くなってしまいました。すみません。

教祖様によろしく伝えておいてください」


『はぁ……』


「貴方もあの方と居れば、良いことが起きますよ」


『はぁ…』




訳が分からず、適当に返事をすれば、
彼はニコニコ笑いながら店から出ていった。

俺は握られていた手を眺め、こてんと首を傾げる。



『ガチなやつ……?』


「零」



声が聞こえ、顔をあげる。

会計から戻ってきた夏油先輩が俺を見下ろしていた。

あれ、怒ってる?




「なんで猿といたの」


『え?』


「……汚いなぁ。勝手に私のに触らないで貰えるかな…」


『?』


「……早く、消毒しないと」



ブツブツと何かを呟く夏油先輩。

彼はガリガリと頭をかくと、
じろりと店内を睨んで、俺の手を掴む。


『うぇっ……!?』


その手を思いっきり引っ張られ、
ふらついて夏油先輩の胸に飛び込む。




「帰るよ」




それだけ言い、彼は俺の手を引いて店を出た。


『痛い』そう言っても、
彼は掴む手の強さを変えなかった。

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- 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時

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