十九歩 ページ19
トコトコといつもの道を歩き、
家に向かう。
『……』
足音が増えていることの気付いたのは、
そこまで遅くなかった。
最初は同じ方向に家があるのだろうと
思っていたが、どうもおかしい。
距離が綺麗に一定であること。
俺が止まったら向こうも止まること。
足音が一般人じゃ気付かないくらいに小さいこと。
気配が薄いこと。
___ストーキングにしては、上手すぎるな。
そこで、俺は、一度振り返った。
『……』
暗い。真っ暗だ。
家の明かりでさえも、
その気配のいる場所には届いていない。
『……誰』
「……」
そう問うても答えはかえってこない。
それが尚更不気味で、
ぶるりと身体が震えた。
暗闇はただ俺を見つめ返してくるだけで、
何もしてこない。
ただ、
じぃと、
じぃっと何かがこちらを見つめている。
『……』
やめよう。
やめた方がいい。
関わらない方がいい。
途端に、そう思って、
俺はくるりと踵を返して走り出す。
『……ハッ…』
すぐに後ろの何かは着いてきた。
くそっ、いつもより遠回りして巻いてから帰ろう。
ドクンドクンと心臓が耳の隣にあるかのような、
それぐらい煩い。
(タッタッタッタッタ……)
(……タタタタッ)
着いてくる。
まだ着いてくる。
鍛えていると分かるほど、
体力がある相手だ。
走る。
ただ走る。
アパートの階段を駆け上がり、
ガチャガチャといつも以上に焦りながら鍵を差し込む。
カチャリと音が鳴った瞬間に、
転がり込むように家に入った。
『ハァッ……ッ……』
ひ、久しぶりにこんなに走った。
はぁと息を零しながら、少し痛い足を引きずり、
部屋の奥へと移動する。
(ピンポーン……)
『……』
背後から聞こえた音。
振り返り、ドアを睨むが、
動く気は一歩も起きず、
俺は死んだようにベッドに身体を沈めた。
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理 - 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時