【呪術廻戦】高専辞めたら先輩病んでた【男主】 (ページ27)

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二十七歩ページ27

夏油先輩に会ってから少したった。

彼は＂あの日＂からよく俺の家に来る。

というか、仕事終わりに待ち伏せするようになった。

仕事が終わって、
さて帰ろうと会社から出れば、
「やぁ！お疲れ」と顔を出す夏油先輩。

最初は、『え！？なんでここに？』と
驚いたもんだ。

多分、彼は暇なんだろう…。

そんなこんなで、
今日も先輩は俺の家に転がり込んでいた。

「仕事は辛くないのかい？」

湯気がふわふわと揺れる淹れたてのお茶を
ずずずと飲んで、パソコン仕事をしている俺に問う。

急にどうしたんだろう…？

ていうか、あのお茶熱々だけど、
猫舌じゃなかったのか…？なんて、
ぼんやり思いながら、『別に』とだけ返す。

疲れると言えば、疲れる。

だが、辛いかと聞かれたら、別にそうでもない。

こんなもの、慣れればいいんだ。

それに、＂あの人＂に色々言われるよりマシだ。

「それは残念。
辛ければ、良い転職先を用意したのに」

『紹介してくれるんですか？』

「うん。即合格で、
家賃も生活費もぜーんぶ、君が払う必要が無いとこ」

『…怠惰を貪りたい訳では無いので遠慮します』

スパッとそう返せば、
先輩は何故か残念そうに「ちぇ」と言った。

逆に怪しすぎるだろ。

ブラック企業じゃないだろうな…？

「……零はさ、どうして高専をやめたんだい？」

その質問にぴくりと手が反応する。

キーボードを叩いていた手は止まり、
思わず振り返って先輩を見ると、
彼は俺を見てニコリと微笑んでいた。

また、胡散臭い顔。

俺はきゅっと口を結ぶ。

『…あなたは質問ばかりですね』

「……君に興味があるんだ」

『興味？』

「気があるってことさ」

そう言いながら机に腕を組むと、
そこに頭を置いて、、、
でも、視線は俺に向ける先輩。

下から覗かれるようなアングル。

俺はその視線から抜け出すように顔を伏せた。

『変ですよ……それ』

「…何故？」

『だって、俺なんかに、
そんなの、持つはずない…じゃない…ですか。普通』

「……要するに、信じられないんだね」

興味なんて、あるわけない。

そんな要素、ひとつもないんだから。

興味を引くような、ものなんて、だって、

そもそも、

＂何も持ってないんだから。＂

＂ゼロなのだから＂