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三歩 ページ3

「やぁ、零」

『…夏油先輩』


夕暮れ。

高専のベンチに座ってボーッとしていると、
夏油先輩がこちらに向かって手をふってきた。


いつもお団子にしている髪を下ろして、
制服も脱いでいる。


彼はいつも五条先輩と一緒にいるけど、
五条先輩と違ってとても優しい人だった。



「ちょっと隣いいかい?」


『…はい。構いませんよ』



ニコリと笑いながら彼は俺の隣に座る。


目に隈。それに少し痩せた気がする。
…忙しそうだもんな。


でも、それも結局他人事で、
俺は労る言葉すら投げかけない。


ただ、彼が喋り出すのを待つ。




「…悟がすまないね」


『…夏油先輩のせいじゃないですよ』


「ま、そうだけどね!でもこれでも親友だからさ」




親友、か。

あんな人にも親友なんて素晴らしい存在がいるんだ。

やっぱり俺にだけなんだなぁ。あの態度。




「許してやってくれとは言わないけど、
悪いやつじゃないんだ」


『…そうですね』


「ふふ、顔と言葉が一致してないよ」




そりゃ思ってないからな。


俺の中では人生の中で、
一番悪影響を及ぼすヤバい奴ですよ。


良い人だなんて、絶対に思わない。




「…零はさ、呪術師やっていけそう?」


『…』




夏油先輩が少し真剣な表情で聞いてくる。


その言葉を聞いて、
真っ先に五条先輩の言葉が頭に浮かんだ。


「お前、呪術師向いてないよ」
「早死する前に辞めれば?」


とか色々言われた気がする。


やはり、俺は向いてないのだろう。


そもそもなりたいと思っていないやつに、
人が救えるのだろうか。



『やっていけないですね』


「はは、そうなのかい?」


『…俺は、他人に対して
興味関心が人一番薄いと思うんです。
多分、目の前で非術師が死んでも何も思わないし、
正直どうでもいい、めんどくさいと思います。
そんな人は呪術師に向いてないんですよ』


「…」



夏油先輩は静かに聞いてくれた。

俺がやっていけないことには、
何も突っ込まないんだな。


普通、「お前ならやれる」「諦めるな」とか、
そんな御託を並べると思うんだけど。



それをしないというのは、



やっぱり、この人は良い人だ。



信頼出来る、人だ。

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- 続き待ってます! (9月18日 1時) (レス) id: 61fc42598e (このIDを非表示/違反報告)
ボブ(プロフ) - 更新待ってます。 (2022年7月12日 21時) (レス) @page36 id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)
すめし - 好きすぎる、、、 更新頑張ってください!! (2022年3月17日 21時) (レス) @page36 id: b2ccf5b6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえ - 続きが気になりすぎる…!! (2021年7月23日 21時) (レス) id: 13f7b558a6 (このIDを非表示/違反報告)
ボブ - 更新待ってます。 (2021年6月22日 14時) (レス) id: 95a51c0b56 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かるーあ | 作成日時:2020年12月27日 9時

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