プロローグ ページ1
ミンミンと蝉の声が煩い。
じんわりと滲出る汗が服にくっついて気持ち悪い。
そんな蒸しかえるような暑い日だった。
「A〜！！帰ろう！」
教室のドア付近で私を呼ぶ友人の声に気づいた。彼女は重たそうなリュックを背負って、パタパタと手をうちわ代わりにして顔を仰いでいる。
暑そうだ。
夏だなぁ、なんて当たり前のことを考えてしまう。高校三年生にもなってこんなにぼんやりしてて良いのか、なんて心の私が言うが、こんなに暑いと試験もどうでも良くなってくる。
そんなことを考えながら読んでいた本をしまうと、リュックに突っ込んで友人の方へと向かった。
『暑いね』
「ねー。あぁ…水遁か氷遁が使えれば涼しいんだろうなー」
帰り道、パタパタと歩きながら会話を弾ませる。とは言っても友人の返しが意表を突いてくるので、話はそっちに流れてしまうんだけど。私は友人から聞こえた知らない単語に首を傾げる。
『それはなんぞや』
「NARUTOだよ！！NARUTO！前にも言ったでしょ！漫画の_______________」
聞かなければよかった、と思うほど友人のマシンガントークが始まった。やれカカシ先生がカッコイイだとか、イタチが最高！だとか、私には分からない事を言ってくるのだ。まぁ、適当に聞き流すんだけど。
「もう！ちゃんと聞いてよー！もう本当最高なんだってー！」
『へーへー』
「あ!またそうやって聞き流して！」
プンプンという効果音がつきそうな感じで頬を膨らませる。それを見て笑えば「うりゃーっ」と脇をくすぐられた。彼女曰く「くすぐりの術」だ。
『あはははっ！やめろー』
「えいえい！」
そんな些細な日常に幸福だと感じた。幸せだ、と。
だが、それは簡単に崩れ去る。
次の瞬間だった。
キキーッという車のスリップ音。
身体に走る衝撃。
勢いよくふき飛ばさえた身体は、くるくると回転しながら宙を舞い、私は橋の上から落とされた。
彼女の悲鳴が聞こえる。
『あ……っ……』
名前を呼ぼうとした。彼女の名前を。
だが、声は出ず、ドボォォンッと大きな音を立てながら橋の下の海へと落ちていった。
苦しいし、冷たい。
海の中の無音と足場の無い暗闇が、孤独と恐怖を感じさせた。
嫌だ、なんで、冷たい、怖い、死にたくない。そんな感情が頭の中をぐるぐると埋め尽くす。
手を伸ばす。
最後の足掻きだ。
私は必死に手を伸ばす。
誰かっ……！
その時、ぐいっと身体が引っ張られた気がした。
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かるーあ(プロフ) - イッヌの毛さん» コメントありがとうございます！頑張ります！！ (2020年9月12日 0時) (
レス) id: 7e8732a009 (このIDを非表示/違反報告)
イッヌの毛 - 更新頑張ってください！楽しみにしていますね！ (2020年9月11日 21時) (レス) id: bf8e6a55c2 (このIDを非表示/違反報告)
かるーあ(プロフ) - MAERさん» うわぁ！？ありがとうございます！！そう言って貰えると凄く嬉しいです！頑張ります！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 7e8732a009 (このIDを非表示/違反報告)
MAER - やべえ！！更新めっちゃ楽しみです！頑張って下さい！応援してます!!!!!(うるさい) (2020年8月28日 1時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
かるーあ(プロフ) - 茶々(ピンク)さん» 初コメありがとうございます！頑張って更新していきたいと思います！ (2020年8月26日 21時) (レス) id: 7e8732a009 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かるーあ | 作成日時：2020年8月23日 10時
