117話 本名 ページ37
安室が出て行った後コナン達がお見舞いに来ていた
Aは朝からMRIなど一通りの検査を受けてコナン達に連れられて噴水がある病院の中庭に来ていた
木陰のベンチに腰掛けると子供達を連れてきた阿笠博士がやってきて灰原が持っていた花束を渡した
歩美「私、吉田歩美！
小嶋元太君に円谷光彦君、そして灰原哀ちゃん
みんなコナン君とAお姉さんのお友達でAお姉さんを心配してやってきたのよ」
Aの前に立った歩美がみんなを紹介するとAはぼんやりとした表情で「ありがとう」と言った
A「でもごめんね、誰の事も覚えてないんだ」
光彦「そんなぁ、信じられません！」
元太「あんなに遊んでくれたじゃねーか」
公安のエースであるAは暇があればポアロで暇を潰しては少年探偵団と遊んでいた
光彦と元太が悲しむそばで阿笠博士は自分を指差した
阿笠「ワシの事も覚えておらんか？阿笠博士じゃ
それ、君がニューヨークに行った時に会った工藤新一君ちの隣に住んどる天才科学者じゃよ」
A「工藤…新一…？」
名前を呟いたAの目は以前と同じでぼんやりとしている
蘭「覚えてないんですか？」
A「うん、わからない」
蘭が尋ねるとAは首を横に振った
コナンはがっくりとした
やはりあまりあの姿での接点はなかったので仕方ないといえば仕方ないが…
コナン「じゃあ、このお兄さんは覚えてる？」
コナンはスマホを操作して一枚の写真を出した
コナン「ポアロって言う喫茶店で働いている安室さんなんだ！Aさんも常連で通ってたんだよ」
写真を見たAは安室の姿を見て少しだけ瞳がパチリと開いた
そして、「ふる……や？」と小さくボソリと呟いた
コナン「え？安室さんを知ってるの！？」
A「……ううん、分からない」
やはり首を振ってしまうAに再び肩を落とした
家族の事ですら覚えていないのに安室の事を覚えているわけがないか……
安室「……」
安室はそんな会話を木の後ろで聞いていた
少しだけ目を潤ませて…
安室(早く犯人を捕まえて、記憶を取り戻してやらないとな…)
自分の本名を呟いたAに少しばかり希望が生まれた安室はまた捜査に戻った
コナン「うーん」
コナンが唸っていると隣で立っていた灰原は突然バッと後ろを振り返った
コナン「どうした？灰原」
灰原「今誰かがじっと見つめていたような」
コナン「え！？」
コナンも驚いて振り返ったが花壇の前にベンチが置かれているものの誰もいない
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作者名：サッカーバカ | 作成日時：2018年5月24日 21時
