110話 逆行健忘 ページ25
白鳥の主治医の風戸がAの診察の為に病院に戻ってきた
白衣を着て早速Aのベッドの横にある椅子に座り診察を始めた
風戸「自分が誰だかわかりますか?」
風戸の質問にAは無言で首を横に振った
凛夜は手で目を隠しながら静かに泣いた
秋夜が背中をさすっていた
安室「……」
安室自身はまだ信じられていないのか無言でAを見つめていた
あんな虚ろな目をしているAを見た事がない安室は受け入れる事が難しかった
風戸「それでは今日何があったか覚えていますか?」
A「……いいえ」
風戸「アメリカの首都はどこでしょう?」
A「……ワシントン」
風戸「5×8はいくつですか?」
A「40」
答えるのが少しずつ速くなってきたところで風戸は持っていたボールペンをAに向けた
風戸「このボールペンの芯を出してください」
それはノック式のボールペンだった
受け取ったAはボールペンをじっと見つめると、親指でボールペンの頭についているノックを押した
Aにいくつかの質問をした後、風戸は安室達を会議室に呼んだ
風戸と向い合わせに秋夜、凛夜、安室、コナンが座りその後ろで小五郎、英理、目暮、白鳥が立っている
蘭と園子にはAの病室に残っていてもらった
凛夜「逆行健忘……」
Aの病名を聞かされた凛夜が聞きなれない言葉を繰り返すと風戸は「はい」と頷いた
風戸「突然の疾病や外傷によって、損傷が起こる前の事が思い出せなくなる記憶障害の1つです
ただし、彼女の場合目の前で佐藤刑事が撃たれたのを見て強い精神的ショックを受けたためと考えられます」
秋夜「それで……妹の記憶は戻るんですか?」
風戸「今の段階では何とも言えません
ただ日常生活で必要な知識の点では障害は認められませんでした」
風戸の言葉を聞いて安室、秋夜、凛夜は胸をなでおろした
安室「それじゃあ普通の生活は出来るんですね?」
風戸「そうです、ですがとりあえず何日か入院して様子を見てみましょう」
安室の隣で話を聞いていたコナンは、記憶喪失という診断に納得していなかったもののどこか腑に落ちない部分もあった
それはもちろん安室も同じである
コ・安(しかし、目の前で知り合いの刑事が撃たれたら、A/さんがショックを受けるのは当然だが…記憶喪失になるほどだったのは何か他に原因があったんじゃねぇのか/ないのか?
もっと…A/さんの心を抉るような何かが……)
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2018年5月24日 21時