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106話 僕が ページ21

そんな話をしていると鳳凰の間がある15階の照明が一斉に消えた
会場、ロビー、廊下、そしてAと佐藤がいる化粧室も真っ暗になった

A「どうしたんだ?」

佐藤「おかしいわね、様子を見てくるから動かないで」

Aは素直に佐藤の指示を訊いた
友達だからと言っても佐藤の方が年上、こう言った場合は年上に従えば安全なのをAは知っている

佐藤はAの肩に手を置くと暗闇の中を手探りで進み、出口へ向かった
残されたAは洗面台の方に手を伸ばした
すると、洗面台の下から微かに光が漏れていて扉を開くとバケツの上に点灯した懐中電灯があった

A「佐藤!こんなとこに懐中電灯が!」

佐藤が「え?」と振り返る

A「ほら!」

Aが懐中電灯を持って佐藤の方に向けた時___出口の方でカチリと音がした
音に気づいた佐藤が振り返る
すると、懐中電灯の光に照らされてサイレンサー付きの拳銃を持った手が浮かび上がった

佐藤「!!?、ダメッ!A!」

佐藤がAに向かったと同時に黒い人物は拳銃を撃った

パシュッ!

銃弾が佐藤の肩を貫き血が飛び散る

A「佐藤!!」

黒い人物は連続で銃弾を放った
撃たれた佐藤が被弾の衝撃で踊るように身をくねらせる
銃弾の1つが洗面台の蛇口に直撃して、吹き出した水がAに襲いかかった
持っていた懐中電灯が回転しながら落下しその光に照らされて黒い人物の顔が一瞬浮かび上がる

回転した懐中電灯がAを照らした瞬間、黒い人物は拳銃を撃った が、銃弾は外れてAの顔のすぐそばの壁に突き刺さりAは倒れて来た佐藤と一緒に床に倒れこんだ

懐中電灯が落ちると、黒い人物は拳銃を放り投げて化粧室から出て行った
すぐに非常用照明が点灯して、化粧室も薄暗い明かりに照らされた

A「美和子姉…?」

床に倒れこんだAは体を起こし膝の上にうつ伏せで覆いかぶさった佐藤の肩を揺すった

A「美和子姉!しっかりしろ……!!」

佐藤は両肩を撃たれていた
水浸しになった床に佐藤の血がみるみる広がっているのが見えてAはハッと佐藤の肩に置いた手を上げた

血まみれになった両手がガクガクと震える
佐藤が撃たれた___

A「……僕が……僕が、懐中電灯を……」

懐中電灯を向けたから佐藤は撃たれてしまったのだ
僕が懐中電灯を見つけて、佐藤に向けてしまったから___

A「うわああぁぁぁぁ……!」

Aは血まみれの両手を頬に押し当てながら絶叫した

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2018年5月24日 21時

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