288話 夢を見た ページ20
夢を見た
“エース？”
あの忌々しい頂上戦争の記憶を
地面に横たわって、笑顔で…安らかに眠りについたエースを
“死ぬなっ！”
どんなに揺すっても
“エース！”
どんなに呼びかけても
“ぅ、うわぁ…ぁあぁ、ぁぁぁぁぁぁあああああああああああ！！！！”
受け入れがたい現実を突きつけられたあの時の辛さを
“ごめんな ルフィ…カノン…”
消えろと言っても消えなくて
耳を塞いでも聞こえてきて
目を閉じても脳裏に浮かんできて
思い出したくなくても思い出してしまって
辛さを紛らわすために周りのものに当たりまくって
“もう見えんのか お前さん達には!!!どんな壁も超えられると思うておった“自信”!!疑う事のなかった己の“強さ”!!!”
気づかされる
“それらを無情に打ち砕く手も足も出ぬ敵の数々…!!!この海での道標じゃった“兄”!!無くした物は多かろう”
恩人である彼に
“世界という巨大な壁を前に次々と目の前を覆われておる!!!それでは一向に前は見えん!!後悔と自責の闇に飲み込まれておる!!”
“今は辛かろうがルフィ…!!カノン…‼それらを押し殺せ!!!失った物ばかり数えるな!!!無いものは無い!!!確認せい‼お前さん達にまだ残っておるものは何じゃ!!!”
“!!?”
無くしてないもの…
失っていないもの
じわじわと…ゆっくりと思い出していく
指を下りながら涙を流しながら…
“仲間がいる"よ!!!!”
グシャグシャにした顔で
守りたい大切な仲間達が…今頭の中で浮かび上がる
ずっと一緒に航海をしてきた仲間達
ばらばらになったが、無事である事を願った
3日後の集合を破り、2人でエースを助けに向かった
大切な兄を助けるために
世界でたった1人の兄のために
2人は…全力で走って走って走って走りまくって
時には辛い事もあった
辛い別れもあった
嬉しい再会もあった
明かされた真実だってあった
辛い死だってあった
何もかもが2人を飲み込んでいく
だが、大切な仲間達がいる
まだ、仲間達を失っていない
2人には…希望が見える
大事な…
守りたくて…
会いたくて…
目を覚ませ
お前には
まだまだ
やる事がある
さあ
早く
目を覚ませ
モンキー・D・カノン
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作者名：サッカーバカ | 作成日時：2018年7月13日 23時
