探偵の姉はゼロです2 (ページ36)

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19話蘭GIRL ページ36

～回想・13年前～

英理「ねぇあなた？蘭の保育園のネームプレート知らない？」

毛利「ああ、それなら台所のテーブルに置いてあったぞ？」

シンシンと降り続く雪の中
アパートでは当時4歳の蘭、そしてまだ別居していなかった英理と小五郎がいた

英理「それは去年までのチューリップ組のネームプレートよ！」

蘭「蘭、今日からサクラ組だもん！」

英理「今日、保育園に連れて行く時に付けようと思って下駄箱の上に置いてたんだけど…見てない？」

毛利「そういやぁ下駄箱の上の靴ベラを取った時に…何か落ちたような…」

小五郎が靴ベラを持ち上げ、右足を前に出した瞬間

バキッ

毛利「あ…あーーっ⁉ヤバ…踏んじまった‼」

粉々になったサクラ組のネームプレートは砕け散っていた

蘭「え～～っ⁉」

英理「ウソ！粉々じゃない⁉」

小五郎の手にあるサクラ組のネームプレートは原型をとどめていなかった

毛利「悪い…接着剤でくっつけりゃ何とかなるだろ…」

英理「そんなんで直せる状態じゃないと思うけど…」

粉々になったネームプレートをジトリと見つめる英理

毛利「じゃ、じゃあ俺、今日から本庁だから…」

と、そそくさと逃げるように家から出た小五郎に英理は「もォ！」と怒った

英理「保育園の先生に新しいのを用意してもらうしかないわね…」

蘭「じゃあ、それまでどうするの？」

不安そうにネームプレートを見つめる蘭に英理は「大丈夫！」と笑顔で返した

英理「お母さんが代わりのネームプレート作ってあげるから…色紙と厚紙持って来てくれる？」

蘭「うん！」

同時刻

「感動しました、工藤先生‼ 特にラストのさすらいよ女探偵のあのセリフ！「やり直すのに時の縛りはないから」って…まるで自分が言われてるみたいで鳥肌モンでしたよ‼」

雪が降る中、工藤優作の「死人の消息」という作品のサイン会が行われていた

優作「そりゃどうも…確か君は前のサイン会にも来ていた北海道の…」

「覚えていてくださったんですね！ありがとうございます！」

優作「じゃあさっきまで降っていた少し遅めの雪は雨になったのかな？」

「あ、いえ…これは昔のクセで…」

女性の脇にある傘に目を向け優作は微笑んだ
すると、胸ポケットにある携帯からバイブ音がした

優作「ちょっと失礼…」

断りを入れてから優作は電話を取った

優作「ああ…有希子か…え？新一の保育園のネームプレート？」