第8話 入浴 ページ10
「田頼A、俺も一緒にいいか？」
「鬼道くん！？」
ドアの奥から現れた、タオルを腰に巻いた鬼道と目が合った。
突然の事に動揺が隠し切れず、Aの周りの水面がぱちゃりと音を立てて跳ねる。
「も、もちろんだよ…」
断るのも変だしな、と、Aは引き攣った笑顔で承諾を返した。
「1人でくつろいでいたところ悪いな。同じゲームメイカーとして、2人だけでお前と話がしてみたかったんだ」
何度か湯浴みをした後、Aの隣に足を踏み入れる鬼道。
悪いと思うなら、別の機会にしてくれても良かったんじゃないかな…と心の中で不満を撒いてみるも、彼に届く事は無いだろう。
隣の鬼道にちらりと目をやるが、幸い首までお湯につけているおかげで、身体の痣はまだ鬼道に見られていないようだ。
(鬼道くんが満足して先に風呂を出てくれるのを待つしかないか…)
のぼせるのを覚悟しながら、Aは心で呟いた。
「なあA、学園でのあの雰囲気で分かったと思うが、今の雷門イレブンはちょっと不安定なんだ。本当は皆いいヤツなんだが…。勘違いしないでやってくれると嬉しい」
少し俯き気味に、鬼道がふと言葉を落とす。
「あぁ…わかるよ。衝突が無いチームは成長しないさ」
「…ありがとう」
普段ゴーグルで隠れている赤い瞳が、Aを捉えながら小さく揺れた。
チームを憂う彼の眼差しに、Aは自然と目を細める。
フィールドの魔術師なんて肩書きのある彼だが、随分仲間想いの良い奴じゃないか。と、こんな感想が浮かんだ。
「少し前に、監督の命令で抜けることになったうちのストライカーの豪炎寺ってヤツがいてな…」
「豪炎寺…」
「その豪炎寺の抜けた穴を、うちのチームは中々埋められずにいるんだ」
苦い顔で、鬼道がそう零す。
豪炎寺修也、数々の大会で素晴らしいシュートを放った炎のストライカー。
液晶越しでも熱気が伝わる程のシュートを、今でも良く覚えている。
「彼はいつか…帰ってくるのか？」
「あぁ。あいつならきっと戻ってくるさ」
「それは楽しみだ。好きなんだ、サッカー強いヤツ！」
湯気にあてられて、段々と赤みを帯びてきた顔のAが、ふわりと笑いかける。
幼い子供の様な振る舞いに、鬼道も釣られる様にして口角を上げた。
「サッカー、好きなんだな」
「あぁ、大好きだ」
「……俺もだ」
自身の顔が映る水面を眺めながら、隣の鬼道の横顔が目を伏せる。
なんだか、少しだけ鬼道のことが分かったような気がした。
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
