第39話 不安定 ページ43
次の目的地へと向かうキャラバンに揺られながら、Aは相変わらずぼーっと窓の外を眺めていた。
鬼道に多少元気付けられたものの、父親からの謎の電話のことがずっと頭をよぎる。
(アイツはどうしてあんな嘘を…？)
父親の残虐性を知るAは、奴の言う心配の言葉は偽りだという確信があった。
ただどうしてそんな嘘をつくのか、考えても考えても出てこない答えに、イラ立ちのようなものさえ覚える。
窓に反射した自分の顔が、不安そうな目をしてこちらを見ていた。
「…なあ、また鳴ってるぞ？」
そう言った隣の席の円堂が、突然Aのポケットに指を差してきた。
考え事をして気付かなかったが、言われてみれば自分のポケットからバイブが鳴り続けている。
もう父の事は着信拒否にしてあるはずなのに、と怪訝な顔をするA。
「もう来ないはずなんだけどな…」
「ん？どういうことだ？」
「いや、なんでもな………、ッ！？」
携帯を取り出してディスプレイを確認したAの表情が、突然凍り付いた。
着信を知らせる画面に、デカデカと"母"という文字が記されている。
滅多に来ない母からの着信に、背筋がざわついているのを感じた。
「A、大丈夫か…？顔色悪いぞ」
「………ん、大丈夫だよ。知らない番号だった」
「そっか」
Aの青ざめた表情に心配した円堂が顔を覗かせるが、心配をかけないようにと無理矢理笑顔を作って見せる。
思わず勢いで通話を拒否するボタンを押してしまったが、出たところで良いことはないだろう。これでいい、とそのままパタリと携帯を畳んだ。
着信拒否されていることに気付いた父が母の携帯を借りているのだろうか。だとしたらそれ程までにしつこく掛けてくる理由は何なのか。
しこりのように残る疑念が、Aの心を不安で蝕んでいった。
そんな心を掻き消すように、妹の向日葵のような笑顔を思い浮かべる。
(ゆず、今頃元気にしてるかな…)
妹のことを考えるだけでも、心の不安は幾分かマシになった。
Aの心情を表すかのような淀んだ曇り空は、まるでこれからの行く末を示しているようだった。
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
