第37話 君になら、いいかな ページ41
Aはしばらく狭い路地裏で座り込んだ後、ほどなくしてキャラバンに戻ろうと重い腰を上げる。
キャラバンが停めてあるコンビニの方へ歩き出すと、背後から突然人の気配がした。
「A」
「…鬼道くん」
自分の名を呼ぶ声がする方に振り返ると、何やら浮かない顔をしている鬼道が立っていた。
どうしてここに鬼道がいるのか、何故そんな顔をしているのかなんとなく分かってしまったAは、困ったように笑って首に手を当てがう。
「さっきの話、聞こえてたかな」
「……すまない、盗み聞きするつもりは無かったんだが…」
「…いや、いいんだ」
どうやら本当にたまたま聞いてしまっただけらしく、鬼道は俯いて申し訳なさそうにしている。
そんな彼の様子に、茶化そうにも茶化せない空気を感じて戸惑ってしまう。
「電話の相手は…家族なのか？」
「…そう、父さん」
「………父親か」
父さん、という言葉に反応したのか、鬼道の眉間が少し皺を寄せる。
気まずくさせてしまった、と話した事を後悔するAに、鬼道が口を開いた。
「話してくれないか。その父親のこと…お前の、抱えているものを」
鬼道は無遠慮にAに歩み寄った。
家庭の事情を知られる事で同情されたり、距離を置かれてしまうことを一番恐れていたAだったが、自分に関心を持ってくれている彼の言葉に嬉しく思う。
「わかった。鬼道くんになら…話すよ」
そう言って壁に寄りかかったAは、ぽつりぽつりと家の事情を話し出した。
家庭内で受けた暴力や、妹のこと、もう二度と家には戻れなくなってしまったこと。
話を聞いている間の鬼道は静かに相槌を打ち続けるだけだったが、変に反応されるよりずっと居心地が良いと思えた。
星見学園ですら、このことを話した友達は1人しかいないというのに、知り合って間もない鬼道にはすんなりと打ち明けてしまった自分がいる。
何故だか、鬼道になら話しても良いと思えてしまう。どうしてだろうか。
ひとしきり話を終えた後、鬼道は"話してくれてありがとう"とだけ言って黙り込んでしまう。
つらかったな、などと無理に共感しようとしないあたりに、鬼道の優しさを垣間見た気がした。
顎に手を添えて、しばらく考え込むような素振りを見せる鬼道。ほどなくして口を開いた。
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
