第3話 仲間入り ページ5
「では、貴方の妹さんを保護施設に預けると言うのはどうでしょう」
突然の瞳子からの提案に、Aの眉がぴくりと動く。
なんでも、瞳子の家族が児童養護施設を経営しているのだとかなんとか。
少しだけ興味が湧いたAは、瞳子からもう少し詳しく話を求めると、彼女は全ての質問に答えてくれた。
あまり家庭環境を話したがらないAを察してか、瞳子からAへ質問することは無かった。
一連の話を要約すると、妹は両親から離れて過ごせる。Aはサッカーに打ち込む事ができる。
断る理由が、あまりにも思い浮かばなかった。
「＿＿俺でよければ、力になりたいです」
気付けば、Aの口からそう発せられていた。
この言葉で、晴れてAは雷門イレブンの一員となったのだ。
「せっかくだし、グラウンドを借りてミニゲームをしましょう」
Aの加入に息巻く瞳子が、手を鳴らしながらルールを説明する。
「5対6の対抗戦、田頼くんのチームはＧＫ無しで挑んでもらいます」
淡々とそうルールを取り決める彼女に、一同は数秒の沈黙の後、グラウンドがひっくり返るほどの驚きの声を漏らした。
そんな一同を意にも介さず、瞳子はそのままチーム分けを読み上げる。
「チーム1のメンバーは田頼くん、染岡くん、一之瀬くん、目金くん、風丸くん…」
「ち、ちょっと待ってください！GKがいないどころかDFが俺一人ってどういうことですか！？」
瞳子監督のありえないチーム分けに、風丸という少年が声を荒げる。
他の面々も彼と同様、瞳子の提案に困惑を隠せないようだ。
「俺はいいですよ。なんだか面白そうだし…」
その中でただ一人、Aだけは余裕飄々と言った様子で笑っていた。
怪訝な顔をする雷門イレブンたちとの、奇怪なコントラストが生まれる。
「チーム2は土門くん、壁山くん、円堂くん、鬼道くん、栗松くん、塔子さんでいいかしら」
「はぁ…」
未だチーム分けの意味が理解出来ない壁山が、納得いかないような息を漏らす。
それをかき消すように、円堂が瞳を輝かせて口を開いた。
「監督がそれほどのハンデを付けるって、あいつどんなヤツなんだろうな！？」
そう嬉しそうに声を上げる円堂に、一同は少しだけ表情を和ませる。
「あは…」
なんだかただならぬ期待を寄せられている気がして、Aは恥ずかしそうに頭を掻いた。
「ルールは簡単。先に点を入れた方の勝ちよ。いいわね？」
「「はい！」」
ささやかな戦いの、幕が開けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
