第36話 憎悪 ページ40
「…もしもし」
『おぉ！やっと出てくれたなA！心配したんだぞ！』
「は…？」
電話に出るやいなや、怪訝な表情を浮かべるA。
怒号が飛んでくると思い身構えていたのだが、着信元を疑ってしまうほど面影のない父親の声。
常に高圧的で不機嫌で、自分の子供をサンドバックとしか思っていないような人間が、"心配"などと口走るものだろうか。
得体の知れない恐怖に竦みつつも、Aはおそるおそる用を尋ねてみる。
「…何の用、ですか」
『いやぁ、お前最近家に帰ってないだろ？今までにも何度かそういうことあったけど、やっぱ心配でなぁ。今どこにいるんだ？迎えに行ってやるよ』
「…ッ」
白々しい態度と、本心とは思えない言葉の数々に、Aの眉がピクリと反応する。
意味がわからなかった。
今まで散々子供を放っておいて、どうして今更そんな心配ができるのだろうか。
嫌悪感さえ覚えるその態度に、Aの整った顔が徐々に歪んでいく。
「心配なんか…してるわけないでしょう…！？どうせまた殴られるだけだ！アンタらのせいでどれほど苦しい思いをしたか…！あんな家…絶対に帰らない…アンタらのいる家になんか…！！」
『なんだと…？』
「っ…！」
普段なら殴られる恐怖で反抗など出来ないAだったが、何故か今はすらすらと言葉が舌に乗る。
『おいおい〜そんなこともうしないって！だから帰ってこい！な？せめてゆずだけでも！どうせ一緒にいるんだろ〜？』
「は…、なんだよそれ…」
父親はそんなAの言葉に反してしつこく粘ってくる。
やたらと子供達を家に帰したがる父親に、何か企みのようなものを感じたAは、絶対に帰ってやるもんかと心に決めた。
「………残念だったね。ゆずは今、施設に預けてもらってるんだ」
『施設だと？一体どこの…』
「ッ、教えるわけないだろ…！？頼むからもう関わってこないでくれ…！！」
『ちょ、おい…』
父親が何か話そうとしているのなんてお構いなしに、掻き消すように通話終了ボタンを押した。
押し寄せる怒りと憎しみの感情に任せて、"着信拒否"の項目に指を滑らせる。
「はぁ…っ、クソ、なんなんだ…」
気付かないうちにかなり神経を消耗していたようで、足の力がふっと抜け落ちる。
心を落ち着かせるかのように、Aは座り込んだまましばらく動かなかった。
自分の人生の歯車が少しずつ狂い出していることに、Aはまだ気付いていない。
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
