第1話 Tragedy ページ3
「A！学校の奴らから金盗んで来いって言ったよな！？」
「ッ、ごめ、ごめんなさい…！」
「やめて、もうお兄ちゃんのこと殴らないで！」
あるアパートの一室から鳴り響く殴打音と、それに伴って上がる悲痛な喚き声。
この家庭で繰り広げられる異常な光景が、彼、田頼Aの日常であった。
涙を浮かべる妹のゆずを庇うように、上から覆い被さって父親からの暴行を一身に受ける。
拳となって降り注ぐ不機嫌を受け止める日々に、Aの心は疲弊し切っていた。
「あのサッカー部とやらも、いつになったら辞めるの！部費は免除されないのよ！？」
父の暴力を止めるどころか、Aの背中に向かって怒声を浴びせる母。
そう言葉を投げつけられても、Aは何も言わずに黙って拳を握った。
"俺がプロのサッカー選手になったら、2人で家を出よう"
あくる日に交わした、妹との些細な約束。
二人で暮らせるようになるまで、絶対にサッカーは辞めない。
ゆずの小指の温かさを思い出しながら、堪える様に、Aは下唇をきゅっと噛んだ。
唯一のAの得意分野であるサッカーだけが、この境遇でも希望を持たせてくれるものだった。
翌日の夕方。東京の私立星見学園の生徒であるAは、6限目が終わってすぐにサッカー部のグラウンドで走り込みを始めていた。
「ようA〜今日も早いなぁ」
そんなAの背後から、見知った声が近付いてくる。
「ああ、少しでも多く練習したくてさ」
「まだ上を目指すのか？この前の試合だってすごかったじゃねえか！ボール保有率92%！」
会話のついでに、隣に並んで同じようにランニングをし出す友人。
まるで自分のことかのように誇らしげになる、お喋りなチームメイトに少し頬が緩む。
「＿＿Aはもう見た？宇宙人がサッカーで学校壊して回ってるって」
「見たよ。正気じゃないな、サッカーで世界征服なんて」
先日ニュースでやっていた、宇宙人と名乗る謎の集団の中学校強襲事件。
いまや学校中がその話題で持ち切りで、隣の友人もその一人。
そうやって他愛もない話で時間を埋めていると、隣の友人が突然足を止めた。
「なぁA。なんか見たことないバスが来てるぜ」
そう言って、校門の方へ指を差す友人。
その人差し指の先へ目を凝らすと、青と黄色の装飾が施されたバスが見えた。
「誰だろう…他校の生徒？」
首を傾げるAの瞳に、ゾロゾロとバスから降りてくる人影が映る。
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
