プロローグ ページ2
某日某所、とある小さなスタジアムのサッカーフィールド。
後半30分、スタジアムの液晶に映し出された9-0という目を疑うような数字。
半分に区切られた片方のフィールドの選手たちは、屍のようにそこから動く気配がない。
当たり前だろう。この大差で戦意が残っている者など、一人としてそこにはいない。
『どうしてボールが奪えないんだ』
ある選手が、まともなサッカーをさせてもらえないと、そう愚痴を零す。
特筆すべき強さが見いだせないのに、何故かボールを奪えないという違和感。気付いたら決められているシュート。
言葉にはできない何かが選手たちを襲った。
後半30分の今となっては、はっきりとわかる。
皆口を揃えてこう言うだろう。
"彼"だ。
得体の知れない違和感。全てあの彼が出す指示のせいだ。
どこへ行ってもどんな手を打っても、最後にボールを持つのは、最後にゴールラインを割るのは、彼。
まるで幽霊のように、誰の視界に映ることなく、気付けばベストポジションに鎮座して、不敵に笑みを掲げる。
『バケモノだ…』
ある選手が、あまりに悲惨な状況を見渡してつい呟く。
"彼"は敵陣地で涙目になっている選手の肩に手を乗せて、こう耳打ちした。
『悪いな。君たちの動きって分かりやす過ぎるんだ…』
『…ッ』
『これで終わりにしよう』
対戦相手の選手は凍りついたかのように、そこから動くことはなかった。
"彼"が通り過ぎた道には何も残らない。まるで死神だ。
『＿＿グランドアビス』
そう静かに唱えた彼が、自らの手でぎちぎちと音を立てながら時空を切り裂いていく。
闇がうごめく時空の穴に渾身の蹴りを入れ、歪んだ時空からどこからともなくボールが飛び出した。
黒曜を纏ったそのボールは無慈悲にも、相手のゴールキーパーごとゴールネットに押し込まれてしまう。
とどめの一撃と言わんばかりのシュートであったが、既に戦意喪失していた敵の選手たちには無意味だったようだ。
『技を使うまでもなかったかな』
汗一つ流さない彼が放った言葉を合図に、試合終了の音が静かなスタジアムに鳴り響いた。
結果、10-0。星見学園の完全勝利。
前代未聞のスコアを叩き出したこの記録は、練習試合のため公式の記録に残ることは未来永劫ないだろう。
――が、ただ一人、観客席から試合を見届けている男がいた。
彼はゆっくりと立ち上がると、誰にも聞こえない声でこう言った。
『Aくん、君は近い未来、私の計画の障壁となるだろう。』
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あ(プロフ) - 尊都さん» 尊都さんコメントありがとうございます😳そう言って頂けて嬉しいです；；本編の方にもバレンタインの話みたいな恋愛描写もう少し入れていきたいですね〜 (2月19日 11時) (
レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 司令塔タイプのイケメン大好きです🥺バレンタインのお話も最高でした💖お気に入りに追加しました！続き楽しみにしてます！✨ (2月18日 23時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - リポポプさん» リポポプさんありがとうございます~！気に入っていただけたようで嬉しいです🥺✨今どき無印の男主作品見てくれる方ってすごく貴重なので二度もコメント頂いちゃって感無量です、、🙇 (2月15日 12時) (レス) id: 6fef9200f8 (このIDを非表示/違反報告)
リポポプ - バレンタインストーリーありがとうございます😭😭素敵なお話すぎて心がときめきます、、、風丸さんとの絡み大好きです🥰🥰 (2月14日 16時) (レス) @page35 id: 35e98c7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あさん» おけですよ！！あの、あさんのボードに返事送りましたのでボード返事待ってます。 (2月9日 12時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あ | 作成日時：2024年1月24日 6時
