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ぽん…っ
俯いた頭の上に、暖かいなにかが乗った。
「……え、」
顔を上げると、心配そうにユートが覗き込んでいる。
「……りょうすけ…。泣かないで」
そう言って、自分も泣きそうな顔で俺の頭を撫でてくれて。
「ユー…ト…。」
名前を呼べば、ん?と首を傾げて、俺の言葉を待つ。
彼はユートであって、ゆうとじゃない。
だけど、今だけはゆうと、だと思ってもいいかな。
彼への想いは、今日で最後にしよう。
その手に頭を擦り付けて、目を閉じると、目の縁から涙がこぼれ落ちた。
_______________
「じゃあ、俺帰るから。おまえも、もうあんな男早く忘れるんだぞ」
口ではそう言うけど、俺を見つめる瞳は心配そうだ。
「あ、あと…。」
玄関から出ていこうとしただいちゃんが、足を止めて、俺らを振り返る。
そして、ゆーとを手招きして、なにかコソコソと耳打ちした。
「なに?なんて言ったの?」
「おまえは、知らなくていいことだよ。」
約束だからな、と呟いてだいちゃんは帰っていった。
なんの約束をしたのか、と聞いてもユートは曖昧に笑って誤魔化すだけで。
そんな表情が、昔の彼と重なって苦しくなった。
苦しい fin.
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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時