おもちゃ箱【×ym】 (ページ5)

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お昼休み、食堂で雄也と慧ちゃんとご飯を食べる。

「…ってか、俺、雄也と慧ちゃんが付き合ってること知らなかったんだけど！」

「ふふ、ごめんね？まだ秘密にしてよって、話してたんだ」

「だいちゃんにだけじゃなくて、涼介にも言ってなかった」

…なんだよ、それ。

俺だって、慧ちゃんがずっと好きだった。

肩を揺らして笑うところも、

綺麗な指先も、

おっとりとした喋り方も、

ぼーっとしてると思いきや、周りに気を使える所も

全部、全部、好きだった。

…何年片想いしていたか分からないぐらい。

なのに、想いを伝えることもなく俺の恋は散ってしまった。

だけど…

…悔しいけど、

雄也の隣で笑う慧ちゃんは、とっても綺麗で眩しくて。

敵わないな…。

慧ちゃんと雄也が2人の世界に入ってしまったので、俺は先に食堂を出た。

「だーいちゃんっ、どうしたんだよ？そんな暗い顔して！」

ガバッと後ろから抱きつかれて振り向くと、八重歯を見せてにっこり笑うひか。

「あ、いや、なんでもない笑」

「ってか、知ってた？伊野ちゃんと髙木付き合ってること！」

「知ってるよ、お似合いだよなぁ」

…自分で言ってて悲しくなる。

「あーあ、伊野ちゃん可愛いから争奪戦だったのに…。やっぱ幼なじみってのは、強いねぇ」

顎に手を当てて、うんうんと頷いたひか。

と思えば、

「なるほどね～、
伊野ちゃんが、付き合ったから、ターゲットはあの子にうつったのか…。」

そう言って、中庭を見たひかにつられ俺もそっちへ視線を向ける。

「あ」

そこには、大人しそうな男の子に告白されている涼介がいた。

なにを話しているのか分からないけれど、男の子が少し悲しそうな顔をしていたから、
きっと振られてしまったんだろう。

「あれ、だいちゃんじゃん。なんだよ～覗き見？」

さっきの真剣な表情と打って変わって、ふざけながらこちらに来た涼介。

「たまたま見えただけだよーだ」

「あ、もしかして慧兄ちゃんに達にハブられたからこんなとこにいんの？寂しいやつだなぁ」

こ、こいつ…！！

慧ちゃんが付き合ったからって、

こんなおちゃらけてて、口が悪いやつ、

絶対に慧ちゃんの代わりになんてなるもんか！