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「いらっしゃい、だいちゃん。」
話がある、と親友のだいちゃんを家に呼んだ。
「それで?話ってなに?」
リビングに置いてあるソファに座っただいちゃん。その手元からはガサゴソと音がして。
「…その前にその子、出していいよ?」
「あ、悪い」
パカッとキャリーのケースを開けると、中からは可愛いらしい三毛猫。
毛並みもツヤツヤで、くりっとした目が俺を捉える。
「うっわ…可愛い…。」
「だろ?目が合った時、連れてってって言われてるように思えてさぁ…。」
にゃあ
「うん、遊んできていいよ。」
だいちゃんが目尻を垂らしてネコちゃんを放す。
するとネコちゃんはユートのケージに一直線。
「あっ、だめ…っ!」
ネコとウサギは捕食者と被食者の関係だ。
いくらネコちゃんがいい子だとしても本能ってものがある。もしかしたらユートが食べられる可能性もある。
俺がケージの前に立つと、不満そうなネコちゃん。
にゃあ…!
「だ、だめなの。食べちゃだめ!美味しくないから、ユートは!!」
ネコちゃんに向かってそう叫ぶと、だいちゃんの目付きが変わった。
「ユート?おまえ、今、ゆうとって言った?」
「…あ」
「どういうことなんだよ、説明しろよ!」
「ちがぁ、あの人とは関係ないの!」
にゃあ!!
両方向から責められた俺の後ろから、カリカリとケージを引っ掻く音がする。
「…うわっ、だめだ、ってユート!」
ぼふん…っ!!
「ケイ!あと、そこのお兄さん!僕の飼い主をいじめないでよ!!」
目の前に立っていたのは、
目をとがらせただいちゃんでもなく
俺のズボンを引っ掻く三毛猫でもなく
俺の飼っているイケメンなウサギだった。
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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時