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「わかんない、覚えてないよ…。」



どんなことをして遊んでたのか、そこだけが霧がかかったように思い出せなくて。



「……。これは…あいつらの仕業か…。」



はあと大きくため息をついたケイは、俺の手を取ってどこかへと歩き始めた。


ケイの歩く場所にどんどん道ができていく。



…すごい…。



アノコガホシイ


アノコジャワカラン


コッチニオイデヨ




ざわざわと、花が揺れて。
小さな子どもたちの声が聞こえて。



嫌だ…怖い…、行きたくない…っ!!



強く耳を塞いだら、目の前には花も道もなくなっていた。




「ケ…、ケイ…っ?!」


ぐるりと周りを見渡しても、彼の姿はなくて。



ぼんやりと宙に浮かぶ、丸い輪の中に手を伸ばした。




_______________




気づくと、神社のご神木の前だった。


心配そうに俺を覗き込む、神主さん。



あれ……、俺、いったい……。



そうだ、ケイは!?




「ケイ!!ケイ、どこ…っ!!」


そう叫ぶと目を見開く神主さん。


「ケ、ケイを知っているのかい…?、」


「は、はい…。」



どうやら、ケイはここの神社の跡取りだったそうで。
だけど、生まれつき体が弱くて、数年前に息を引き取ったらしい。





……じゃあ、あのケイは。



考え込んだ瞬間、キーン…と耳鳴りがして。





『またね』







振り向いたけれど、もう何も聞こえなかった。






またね fin.

熱(ytym)→←またね(inym)



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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時

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