おもちゃ箱【×ym】 (ページ31)

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涼介が海の家に向かって数十分。

さすがにこんな時間かからなくないか？

「…涼介、大丈夫かなぁ。」

ぽつ、と慧ちゃんが呟く。

「確かに、少し遅いよな…。」

雄也がスマホで時計を確認していると、無理やり体を起こした慧ちゃん。

「俺、見てくる…！」

「なっ、だめだって！慧ちゃんはここで待ってて、俺が見てくる！」

慌てて慧ちゃんを寝かせると、俺は涼介を探しにパラソルの外へ出た。

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「いねぇなぁ…。」

海の家に行っても涼介はいなくて。

砂浜を駆け回る。

「涼介ー！」

すると

「…だいちゃ…っ！」

微かに俺を呼ぶ声が聞こえた。

「！涼介、どこだっ？！」

辺りを見回しても、それらしき姿は見えなくて。

…聞き間違い…だったのか、？

「だいちゃ…っ、助けて…、～～～っ！！」

…いや、違う。

これは、涼介の声だ。

バァン…ッ

シャワールームを開けると、そこには水着を脱がされかけている涼介と彼に跨るチャラそうな男。

「……なにやってんだよ…」

自分でも驚くほどの低い声が出て。

「ち…っ、彼氏持ちかよ…」

男は、ばっ、と涼介の上から退くとそのままシャワールームを出ていった。

後ろ姿をひと睨みしてから、涼介に駆け寄る。

「おい…、大丈夫か？！」

肩を掴んで揺さぶって。

すると、

「おせえんだよ…っ！！ばか！！」

キッと睨んで、そう叫んだ涼介。

は、はぁ？

俺、割と一生懸命探したんですけど？！

なんなんだよ、しかも全然平気そうじゃねえか。

さっきまで、あんなに震える声で俺の名前を呼んでたくせに……。

「……もう少しで襲われるとこだったんだからな…っ」

下を向いてぽつんと呟いた一言。

ふと涼介を見ると、体が震えていて。

……怖かったのか、やっぱり。

きっとさっきのは、こいつなりの強がりだったんだ。

「…ごめんな、遅くなって…。」

そっと、冷たい体を抱きしめる。

「んーん、……来てくれて、嬉しかったよ…。」

耳もとで囁かれた声に心臓がぎゅっと握りしめられて。

俺はこの日初めて、

幼なじみの涼介が儚くて…なんだか可愛いということに気づいたんだ。

トキメキ fin.