おもちゃ箱【×ym】 (ページ30)

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「うおお！海だぁ…」

漫画のようなセリフを吐いて、パラソルの下にいる俺たちのもとに戻ってくるだいちゃん。

「おい、めちゃくちゃ綺麗だぞ！！早く遊ぼうよ！」

キラキラの目で慧兄ちゃんの手を引っ張って。

……こういうとこ、自然に見えるけど計算だからな。こいつの場合。

「待ってよ～、だいちゃん」

白い体を惜しげもなく出して、砂浜へと駆けていく慧兄ちゃん。

光を反射している白い砂が眩しくて。

でも、それより慧兄ちゃんの方が眩しい。

周りを見ると、男も女も目がハート。

……ここでもかぁ。

慧兄ちゃん、ラッシュガードでも着せとこうかな。

俺は砂浜で頭を抱えた。

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「いっ、…っ！！しぬ、しぬぅ～～！！」

数分後、海から上がってきた慧兄ちゃんは足を押さえて雄也におんぶされていた。

どうやら足をつったらしい。

「まったく、普段運動しないのに、いきなり海に入るからだよ」

呆れたように笑ってそっと慧兄ちゃんをブルーシートに降ろす雄也。

でも、その瞳は少し不安げで。

「いたいよぉ～、死んじゃうう」

「慧ちゃんごめんね、俺が急かしたから」

八の字眉で泣きそうな顔になってるだいちゃん。

……なんだか、デジャブ。

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「あ、なんか治ってきたかも…」

慧兄ちゃんがそう言うと同時に、彼のお腹が鳴った。

「…あ、やだ。はずかしぃ～えへへ」

ちろり、紅い舌を見せて照れる姿がなんともえろい。

ごくり、両隣から生唾を呑む音が聞こえた。

「……俺、ご飯買ってくるね」

2人をひと睨みして、財布だけ持ち、3人の側を離れた。

まったく、雄也といいだいちゃんといい、慧兄ちゃんをヤラシイ目で見つめすぎ。

はぁ、と小さくため息をつくと、目の前に影ができる。

「ねぇねぇ、君、可愛いね？」

「…は？」

周りを見てみても、俺しかいなくて。

「それ、俺に言ってんすか？」

「うんうん、君、男の子に見えないくらい可愛いじゃん？肌とか真っ白で、うっわ、すべすべじゃん～」

ゾワ…ッ

ねっとりと撫でられる感触に鳥肌が立って。

思わず、その手を振り払った。

瞬間。

さっきまでの気持ち悪い笑顔を貼り付けた男は、急に声を荒らげて。

ギリ…、と強く手首を捻られた。

「…っ、いた…」

「下手に出てたら、調子に乗りやがって…ッ！こっち来いよ！！」

！！

……これは…ヤバい。