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こっそり、部屋から出ようとしたらマッシュ男に捕まって頭を撫でられる。



…悔しいことに、こいつ、撫でるの上手いんだよな。



きもちぃ……。



「知 念、お昼買ってきたから一緒に食べよー」


…はっ!!


こいつのテクニックに騙されるとこだった。

このマッシュ男はちいを奪いに来たんだ。



「ほら、だいちゃん、涼介くんと遊んできな」


とっ、と男の腕から降り立ったフレンドリー犬は、俺のもとへ嬉しそうに向かってきた。



『よろしく!俺、大 貴。ちゃんにはだいちゃんって呼ばれてるよ!!』



にっこり笑っただいちゃんは優しそうだけど、ぐいぐい来られるのが苦手な俺からしたら少し怖い。



それでも挨拶は礼儀だもんね。



『よろしく、俺は涼介。』



『へー、涼介!可愛いね、名前まで可愛い!!』

『あ、ありがと…。』

『ねえ、涼介はなんの食べ物が好き?俺はね、ジャーキー!』


ああ、もう、だいちゃんとお話してる場合じゃないのに!


『それでさぁ、涼介!』

『涼介ー!遊ぼうよぉー!!』


俺がどこに行っても後ろから着いてくるだいちゃん。



無下に追い払うこともできずに、そのままにしているけど声がでかいから、ちいとマッシュ男を見張ることができない…。



『もお、だいちゃん、静かにしててよ!』

『むぅ、なにしてんのさっきから。』

不満そうな顔のだいちゃんに、ちいとマッシュ男を見張ってると伝えると


『…。見張ってんのはいいけど、あんまり見ない方がいいんじゃない?』

と言われた。




どういうこと、と聞こうとした矢先。


「ひゃあ…っ、いの、…っちゃぁ、」

「ちねん、可愛い〜。キスだけでとろとろだね…?」


『!?』

『あーあ…。』



な、な、な……!!!?



どういうことだよ!!


なに手ぇ出してんだ、このマッシュ!!!



とびかかろうとしたら、だいちゃんからグイッと止められて。


『なんで止めるの!』

『涼介がいくら知 念さんのことが好きでも、知 念さんはちゃんの恋人なんだから。…邪魔しちゃだめ』




どういうこと……?



ちいは俺よりマッシュを選んじゃったの…?

*→←わんわん(arym)



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作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時

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