おもちゃ箱【×ym】 (ページ23)

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わんわん（arym）ページ23

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「いらっしゃい、伊野ちゃん…っ！」

俺のご主人様、知念侑李____ちいの嬉しそうな声が玄関から聞こえる。

そして、間延びしたあの声と俺の嫌いな犬の吠える声も…。

「お邪魔します、知念ち綺麗だね～」

わんわんっ…！！

「へへ、ありがと…。
あ、このタオルでだいちゃんの足拭いてあげて？」

一向にリビングに向かってくる気配がないので、俺は安心して自分専用のベッドに寝転がった。

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事の発端は、ある日のお散歩。

初めてのコースを歩いていたら、あのマッシュの男と俺の苦手なフレンドリー犬とすれ違ったんだ。

ちいは基本的に人見知りで、そういう人を見たらさりげなく避けるんだけど…。

「あれ～、同じ犬種ですかぁ？」

のほほんとした声で話しかけられて、いつもだったら頷くだけのちいが、

「あ、はい…っ！」

なんておっきな声で返事して。

そのままそのマッシュ男と話し込んで、フレンドリー犬の頭を撫でて。

帰る頃には、鼻歌まで歌ってた。

そして、いつしか俺たちのお散歩コースはそこ一択になってたんだ。

そんな経緯があり、ちいとマッシュ男が仲良くなってしまった。

あんなに、引きこもってたちいが割とお出かけするようになったのも、

急にオシャレを頑張り始めたのも、

全部全部あのマッシュのせい！！

そして、今日は初めてお家デートってものをするらしい。

朝からちいは、髪型が変じゃないかとか、服どうしようとか、悩んでて可愛かったけど、大変だった。

だって、ちいセンスないんだもん！

俺が全部選んであげたんだよ。

「うわあ、リビングもきれーい！」

…そんなことを考えてる間にリビングまで来てしまった…。