検索窓
今日:5 hit、昨日:15 hit、合計:53,185 hit

ページ21






そんなことを考えていたら、ぐいっと勢いよく引っ張られた。


「うわ…っ!」


バランスを崩して、ペアの男子に思いきり抱きついてしまう。



「…!!た、高杉くん…っ」


「っ!悪い、痛かったか?」



慌てて起き上がったが、顔を真っ赤にさせたペアの男子は、そのまま動かなくなってしまった。


しかし、今はフォークダンス中。


丸くなって踊っているため、誰かが止まると周りも止まらなければいけなくなる。



「高杉ー!大丈夫かぁ?」



教師の呼ぶ声が体育館にこだまして、皆がこちらに視線を向けた。



「おい、大丈夫か?…一旦抜けるぞ」


未だに顔を赤くさせた男子に、聞こえているか分からないが声をかけ、


教師に大丈夫だ、と頷き、輪を出た。


_______________



「ほら、水。軽い熱中症じゃないか?体育館暑いし…」


「あ、ありがと…。
……でも…熱中症じゃないと思う…。」



水を受け取った男子がもごもごなにか言っているが、聞こえない。


「先生に聞いたら、休んでて大丈夫だって。」


そう言って、俺も横に腰かけた。




入江はあの瞬間しか俺に目を向けず、今も輪の中でダンスの練習中。




恋人が転びかけたんだ、少しくらい心配してくれてもいいんじゃないか。




…やっぱり、入江の気持ちのベクトルは俺に向いていないのかな…。




なんだか、胸が苦しくなって、鼻がツンとしてきて。


そんな自分の弱さを隠すために、膝を抱え込んだ。



すると


「高杉くん、大丈夫?!」


隣で必死な形相で俺を心配するクラスメイト。


「あ、や、大丈夫…。てか、声でか…。」

「高杉くん、さっきも転んでたし。やっぱり自分で気づいてないだけで体調悪いんだよ…。
ほら、保健室行こう?」


すっと手を差し伸べられ、断ろうとした次の瞬間。



グイッ



「え…っ」


二の腕を掴んで、俺を立ち上がらせたのは、クラスメイトではなく…





「…い、りえ…。」

*→←あなたじゃなきゃ(arym)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:海月 | 作成日時:2020年5月2日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。