今度は指にして？【arym】 (ページ30)

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知念side

ぐすぐす、と僕の腕の中で泣く涼介

そんな涼介の頭を撫でながら僕は、どうしたら涼介はこんな目に遭わなかったんだろうと考えていた

いつもの僕なら、過去のことは振り返るだけ無駄なので

次失敗しないためにどうするか考えるけど

こればっかりは、無理だった

僕の大切な大切な涼介を傷つけられたら、

思考がいつも通り回らないんだな、と頭の片隅でもう1人の僕が冷静に分析している

ぎゅっ、と震える涼介を抱きしめると

涙で真っ赤に腫らした目をこちらに向け、

山「んぅ？ちねん……？」

と首を傾ける

その瞬間悟った

これは、襲われるわ

こんな可愛いの、クズどもがほっとくわけないわって

だから、僕は涼介をそばでずっと守ってくんだってこのとき誓ったんだ

事件を起こした奴らは停学

涼介はしばらくは学校にも来なかったけど、やっと来れるようになったときは前の面影は全くなかった

あのふわふわのセットされた柔らかい髪は、

前髪が長く伸びていて手をつけてないのは一目瞭然

可愛くて、丸々とした大きな瞳は、

度が強い分厚いメガネで覆われていた

僕は、あまりの変貌に声が出なかった

でもその甲斐あってか、涼介を襲うという事件は起こらなかった

涼介も徐々に落ち着きを取り戻し、僕とならまともに話せるようになった

なにもかもが落ち着いたと思った、

中3の秋

知「涼介、進路決めた？この前、見学に行ったところにするの？」

山「あ、知念。決めたよ、俺……」

『この街からでた、遠いとこ受験する。』

知「！？そうなの」

山「うん、どうせだったら俺のこと誰も知らないとこがいいと思って……」

思った以上に、あのことは涼介を苦しめていたのだ

その事実に気づいた時、僕はやっぱりあの時誓ったことを思い出す

涼介を傍で守る、今度こそ

知「そっか、僕もそこにする！」

そう思ったら答えは一択しかなかった