ねこ【爆豪勝己】 (ページ20)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:40,362 hit

そのあとページ20

＿＿＿＿＿半年後

「もしもし、お茶子？どしたの」

麗日「爆豪くん記憶戻ったんやって！」

興奮して話すお茶子

歩いていた足を止めると、傘に打ち付けられていた雨の音がやけに大きく響いた

あれから、私は勝己がいる病院へ足へ運んだ

緑谷「かっちゃん～大丈夫？Aちゃん連れてきたよ」

「…あ、」

爆豪「…誰だテメェ」

私を見るあの優しい目はどこにも無くて

私の生きる意味をくれた面影も無くて

＿＿＿＿＿＿結局、怖くなって逃げ出してしまった

頑張るとか一丁前に出しゃばってたくせに、いざとなったらほんとダメだな

本当に雄英生かよ

思い出してため息をついた

麗日「それで、今爆豪くん＿＿＿」

「そうなんだ。じゃあ切るね」

麗日「え？ちょ、まっ」

て、と言いかけるお茶子を遮るように電話を切る

家を借りて、病院の仕事も再開して、やっと落ち着いてきたのだ
今の生活に支障を出したくない

というのは建前の理由で、

逃げ出した私に会う資格は無い

こっちが本音

そういえば、勝己と喧嘩して出て行った日も、記憶を無くした時に初めて会った日も、こんな雨の日だったな

雨女なのかな

自嘲気味に笑って携帯の電源を落とした

「…このダンボール」

“ 拾ってください ”と書かれたダンボール

見覚えのあるダンボールの中を覗くと小さな白猫が蹲っていた

ニャア、とか細く鳴く声に猫を抱き上げた

「…お前も、ひとりぼっちなの？」

猫「ニャア」

「そーかそーか！…お姉さんと一緒だね」

ギュッと抱きしめる

寂しいね、

地面に傘が落ちる

頬を流れる水は雨なのか涙なのか分からない

心配そうに頬の水滴を舐めてくれた

「っ、ありがと」

グスッと鼻を鳴らす

その途端、私の世界から雨が消えた